質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第七二号

生活困窮者等の住まいにおける防火対策等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年四月十二日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   生活困窮者等の住まいにおける防火対策等に関する質問主意書

 二〇一八年一月三十一日の深夜に生活困窮者らの自立支援を掲げる札幌市内の共同住宅「そしあるハイム」が全焼し、十一人が死亡した。
 近年、住まいを喪失し行き場のない生活困窮者、高齢者及び障害者(以下「生活困窮者等」という。)の「受け皿」として機能していた共同住宅の火災が相次いで発生している。これらの火災に共通しているのは、当該共同住宅はいずれも老朽化した木造住宅であったため、火の回りが早く、迅速に避難することができない高齢者や障害者が逃げ遅れがちという点である。
 相次いで発生した共同住宅の火災で明確となった生活困窮者等の住宅問題について、以下質問する。

一 住まいは生活の土台であり、生存権を保障するために必須のものである。国及び自治体には、社会政策として、住まいを喪失し行き場のない生活困窮者等に「受け皿」としての住まいを提供する責務があると考えるが、政府の認識を明らかにされたい。

二 国及び自治体は前記一の責務を果たすため、介護施設の空室活用や低所得者向け公営住宅の新規供給、防火対策が講じられた既存の民間賃貸住宅ストックの活用などを積極的に行うべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
 また、福祉行政と住宅行政で別々に施策を講じるのではなく、「生活の支援」と「住まいの支援」をセットで行うべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

三 老朽化した木造住宅における火事では、出火してからたった五分で建物全体に火が回るとされる。また、高齢者による消火器での初期消火を期待するのは無理がある。したがって、火事の被害の拡大を少しでも食い止めるためには、スプリンクラーの設置が有効であると考える。また、住宅用火災警報器の設置などによる出火の早期発見や、外付けの非常階段等の設置による早期避難も効果があると考える。
 これらの対策についての政府の認識を明らかにされたい。

四 生活困窮者等の住まいを提供している民間事業者が前記三の対策を講じる場合、当該民間事業者が対策の費用を家賃に上乗せすることで、生活困窮者等が入居できなくなる恐れがある。また、生活困窮者等の共同住宅の火災が相次いで発生したことを受けて、小規模社会福祉施設にはスプリンクラーの設置が義務付けられているが、総務省消防庁の調査によると、二〇一七年十二月一日時点でスプリンクラー未設置の割合は二十七・九%にのぼっている。また、スプリンクラーの設置費用を工面できず、事業所を閉鎖したり宿泊サービスを中止したりする民間事業者が相次いでいる。これらの問題点を解決するためには、当該民間事業者に対し、財政的な補助を含む公的支援の強化を検討すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。