質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第六四号

関東大震災時における朝鮮人等虐殺事件に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年四月六日

有田 芳生   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   関東大震災時における朝鮮人等虐殺事件に関する質問主意書

 関東大震災時における朝鮮人、中国人等の虐殺事件については、平成二十年、自民党政権下で内閣府中央防災会議の専門調査会が作成した「災害教訓の継承に関する専門調査会報告書 平成二十年三月 一九二三関東大震災報告書【第二編】」(以下「報告書」とする)でもくわしく書かれています。そこでは「震災直後の殺傷事件で中心をなしたのは朝鮮人への迫害であった」、「軍、警察、市民ともに例外的とは言い切れない規模で武力や暴力を行使した」、「自然災害がこれほどの規模で人為的な殺傷行為を誘発した例は日本の災害史上、他に確認できず、大規模災害時に発生した最悪の事態」だったとまとめています。そこで質問します。

一 私が平成二十九年四月二十六日に提出した「関東大震災時に起こった朝鮮人、中国人等虐殺事件への日本政府の関与に関する質問主意書」(第百九十三回国会質問第九一号)に対する答弁(内閣参質第一九三第九一号)の「五について」において、「御指摘の「震災警備ノ為兵器ヲ使用セル事件調査表」については、調査した限りでは、政府内に見当たらないことから、お尋ねについてお答えすることは困難である」とありました。「震災警備ノ為兵器ヲ使用セル事件調査表」(以下「調査表」とする)は報告書の記述の根拠となっている資料で、一九九七年刊行の「関東大震災政府陸海軍関係史料」第二巻に収録されていることが報告書に明記されています。このことから、「調査表」は、関東大震災時における朝鮮人、中国人等の虐殺事件に日本政府が関与したという「事実関係を把握することができる資料」に値すると考えますが、政府の見解をお示しください。

二 報告書の記述の根拠となっている防衛省防衛研究所図書館所蔵の「大正十二年公文備考」の簿冊中の「九月五日近衛師団司令部ヨリ戒厳地司令官宛通報」にある、亀戸警察署に検束された朝鮮人が騎兵十三連隊により刺殺された旨の記述から、当時の日本政府は関東大震災時における朝鮮人、中国人等の虐殺事件に関与したと考えますが、現政府の認識をお示しください。

三 「調査表」は、公的機関である東京都公文書館に所蔵されています。「関東大震災時における朝鮮人、中国人等の虐殺事件に日本政府が関与したこと」の有無を確認するために、東京都公文書館で同資料を調査する必要があると考えますが、政府にその意思がありますか。

  右質問する。