質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第三五号

沖縄県辺野古沿岸域の地層に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年三月十二日

糸数 慶子   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   沖縄県辺野古沿岸域の地層に関する質問主意書

 政府は、沖縄県民の民意に反し、沖縄県名護市の辺野古沿岸域においてアメリカ合衆国軍隊のための新たな軍事基地建設を強行に推し進め、さらには地質学の専門家等が「辺野古沿岸域に活断層が存在する可能性が高い」と指摘しているにもかかわらず、埋立て工事を中断することなく、石材等の搬入を続けている。
 平成二十九年十一月十五日に私が提出した「辺野古新基地建設に関する質問主意書」(第百九十五回国会質問第一三号)に対する答弁(内閣参質一九五第一三号。以下「答弁書」という。)の五から七までについてにおいて、政府は「既存の文献によれば、辺野古沿岸域における活断層の存在を示す記載はないことから(中略)辺野古沿岸域に活断層が存在するとは認識していない」とした。しかしながら、地質学の専門家等は、答弁書における、活断層の存在を否認した「既存の文献」とは異なる見解の文献もあること、活断層の存在を科学的に判断するためのデータとしてボーリング調査や音波探査の結果が公表されていないことから、「辺野古沿岸域に活断層が存在するとは認識していない」とする政府の見解(以下「政府見解」という。)は問題だとしている。よって、以下、質問する。

一 答弁書における「既存の文献」とは、平成二十九年十二月六日に赤嶺政賢衆議院議員が提出した「辺野古沿岸域における活断層の存在の可能性に関する質問主意書」(第百九十五回国会質問第九一号)に対する答弁(内閣衆質一九五第九一号)の一についてでは、「国立研究開発法人産業技術総合研究所がホームページで公開している「活断層データベース」、東京大学出版会が平成十四年五月に出版した「活断層詳細デジタルマップ」(中田高、今泉俊文編)等」であるとしているが、具体例として挙げられた文献以外に参照した文献やデータ等があれば、その文献名やデータの内容等を明らかにされたい。

二 政府見解を示すにあたり、地質学の専門家から意見を聴取したか、明らかにされたい。

三 地質学の専門家等は、辺野古の陸上部にある「辺野古断層」と「楚久断層」の二つの断層(以下「両断層」という。)が「新編 日本の活断層」(活断層研究会編)において「活断層の疑いのあるリニアメント」に分類されていること、さらには「名護・やんばるの地質」(遅沢壮一、渡邊康志編著)おいて「活構造」に分類されていることを重視している。政府見解を示すにあたり、これら二つの文献を参照したのか明らかにされたい。また、これら二つの文献における両断層についての記述に対する政府の見解を示されたい。

四 平成十二年十月の「第三回代替施設協議会」における配布資料(「推定地層断面図」等)には、両断層の延長線上の交差地点付近に六〇メートル近い落ち込みがあることが示されている。「推定地層断面図」の作成過程を明らかにしたうえで、当該落ち込みについて、両断層との関連性も含め、政府の見解を示されたい。

五 前記赤嶺衆議院議員の質問に対する答弁の六についてで示された辺野古沿岸域におけるボーリング調査又は音波探査の結果に、辺野古沿岸域における活断層の存在の有無を示す科学的なデータは存在するのか明らかにされたい。科学的なデータが存在するのであれば速やかに公表するべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

六 活断層の存在については、政府とは異なる見解をもつ専門家の意見も広く聴取するとともに、科学的根拠をもって判断するべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。