質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第三一号

保育士の登録取消制度の実効性確保策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年三月七日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   保育士の登録取消制度の実効性確保策に関する質問主意書

 平成二十七年十二月に神奈川県平塚市の認可外保育施設で乳児が死亡した事件で逮捕された男性保育士には、幼児に対する強制猥褻罪で実刑判決を受けて服役していた過去があった。
 児童福祉法は、保育士が禁錮以上の刑に処せられた場合、都道府県知事は欠格事由に該当したとして当該保育士の登録を取り消し、当該保育士は刑の執行から二年経過するまでは再び保育士登録はできない旨定めている(以下「登録取消制度」という。)。ただし、登録取消制度は、当該保育士本人が禁錮以上の刑に処せられた旨を都道府県知事に届け出ることを前提としている。前記事件で逮捕された保育士はこの届け出を行っていなかったため、欠格事由に該当したことが把握されず、当該保育士は登録を取り消されないまま勤務していた。
 このような事案への対応として、厚生労働省は、登録取消制度の実効性を確保するため、児童福祉法施行規則等を本年二月に改正し、保育士が禁錮以上の刑に処せられたこと等により欠格事由に該当するおそれのある事案を都道府県知事が把握した場合に、当該都道府県知事が当該保育士の本籍地の市町村に対して犯罪情報の照会を行うこと等により、欠格事由に該当するかどうかを確認することとしている。

一 児童福祉法施行規則等を改正しても、保育士が禁錮以上の刑に処せられた等の欠格事由に該当したことを都道府県知事が把握する手段は、マスコミ報道など非常に限られたものになるのではと懸念されるが、政府は、保育士が禁錮以上の刑に処せられたことを都道府県知事が確実に把握する方策をどのように確保しようと考えているか。

二 保育所等が、採用しようとしている保育士の犯罪情報を当該保育士の本籍の市町村に対して照会し、犯罪情報についての回答を得ることは現行制度上可能か。

三 真の意味で登録取消制度の実効性を確保するためには、少なくとも、保育士が猥褻事件や保育所での不祥事により禁錮以上の刑に処せられたという情報について、保育士登録簿を管理している全都道府県知事に通知する仕組みが必要ではないかと考えるが、政府の見解は如何か。

  右質問する。