質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第三〇号

バス事業の安全問題及び地方路線問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年三月一日

山本 太郎   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   バス事業の安全問題及び地方路線問題に関する質問主意書

 平成二十八年十二月に道路運送法の一部を改正する法律(平成二十八年法律第一〇〇号。以下「道路運送法改正法」という。)が施行されバス事業の安全対策における大きな一歩を踏み出したが、まだ十分とは言えない。また路線バス事業への参入に係る規制緩和により地方のバス路線(以下「地方路線」という。)の維持も大きな問題となっている。こうしたことを踏まえ、以下質問する。

一 観光バス運転手などで構成する全国自動車交通労働組合総連合会(以下「自交総連」という。)関係者の証言によれば、全国でバス・タクシー・トラック事業者(約十二万社)を監査する国土交通省の監査官の平成二十七年度の定員は全国で三百七十一人しかいないとされる。単純計算で、監査官一人が担当すべきバス・タクシー・トラック事業者数は約三百二十社であるが、平成二十七年度当時から二年以上が経過した現在、国土交通省の監査官の人数及び監査対象となっているバス・タクシー・トラック事業者の数を地方運輸局ごとに示されたい。

二 政府は、現状における国土交通省の監査官の人数でバス・タクシー・トラック事業者に対する実効ある監査ができると考えているのか。

三 道路運送法改正法によって、民間の一般貸切旅客自動車運送適正化機関が一般貸切旅客自動車運送適正化事業を行うこととされたが、本制度で実効ある貸切バス事業の適正化が可能と考えているのか。国土交通省の監査官の増員ではなく、本制度により貸切バス事業の適正化を図ることとした理由を明らかにされたい。

四 一般貸切旅客自動車運送適正化機関の数を地方運輸局ごとに示されたい。また、同機関に役職員として再就職した国家公務員(独立行政法人の役職員を含む。)がいる場合には、その数も地方運輸局ごとに併せて示されたい。

五 平成二十四年十月に国土交通省に設置された「バス事業のあり方検討会」において、運転手の立場を代表する労働組合関係者で同検討会の委員に選ばれたのは、全国交通運輸労働組合総連合軌道・バス部会事務局長、日本私鉄労働組合総連合会交通政策局長及び日本鉄道労働組合連合会自動車連絡会顧問の三名であった。国土交通省の監査官の少なさを指摘した自交総連等の労働組合の代表は含まれていないが、国土交通省は同検討会における労働組合関係者の委員をどのような基準で選んだのか。

六 道路運送法は、一般乗合旅客自動車運送事業の許可基準について、同法第六条において、当該事業の計画が輸送の安全を確保するため適切なものであること、当該事業の遂行上適切な計画を有するものであること、当該事業を自ら適確に遂行するに足る能力を有するものであることと規定しているのみである。
 同条において地方路線も含めた公共交通全体の持続的な維持が許可基準として考慮されていないことは、当該事業への参入に係る規制緩和の最も典型的な弊害である。当該事業への新規参入を希望する者がいる場合、地方路線も含めた公共交通全体を持続的に維持できることを許可基準とするよう、同法の改正が必要と考えるが、政府の考えを明らかにされたい。

  右質問する。