質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第二七号

コレステロール値と疾病に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年二月二十三日

伊藤 孝恵   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   コレステロール値と疾病に関する質問主意書

 コレステロール低下医療が動脈硬化性脳心血管病の予防・治療に役立つとされている。しかし、LDLコレステロール値は長寿の指標であり、これを治療薬で下げることは不適切であるという研究者集団もいる。そこで、コレステロール値と疾病について、以下質問する。

一 臨床研究における企業と学者の間の利益相反問題について、海外では、臨床研究結果がゆがめられた旨ワシントンポスト紙で指摘され、英国の二大誌である、BMJ(英国医師会雑誌)とThe Lancet(Elsevier社)による論争が活発に続いているが、臨床研究における利益相反問題について、日本ではどのように認識されているか、政府の見解如何。

二 EUでは臨床試験規則が採択され、加盟各国が当該規則の準拠に必要な国内法規制を実施している。当該規則と、当該規制に対応する日本の臨床試験に関する規制との間における内容及び実効性の相違について、政府の把握するところを明らかにされたい。

三 コレステロール低下剤の一つであるスタチンの動脈硬化性脳心血管病の予防・治療への有効性については、議論が分かれている。またその安全性についても、疑義がある。BMJ open誌二〇一七年六月三十日号掲載のデータによると、スタチンの使用者と非使用者の糖尿病発症のハザード比を見ると、スタチン使用者は非使用者に比べ糖尿病の発症率が一・九から二・六倍高くなっているが、政府の見解如何。

四 前記三に関連し、日本脂質介入試験(J-LIT)の結果が日本動脈硬化学会の動脈硬化性疾患予防ガイドラインの内容にどのような影響を与えたか、政府の把握するところを明らかにされたい。

五 茨城県民健康調査によると、総コレステロール値と死亡率の関係では、コレステロール値が高い人ほど癌や脳卒中による死亡率が少ない傾向があるうえ、全死亡率も低い傾向があり、長寿である。当該結果は、コレステロール低下医療が動脈硬化性脳心血管病の予防・治療に役立つという考えとは逆の指標を示しているが、本調査結果に対する政府の見解如何。

  右質問する。