質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第二四号

生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案に示された後発医薬品の使用原則化とバイオ後続品の品質に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年二月二十二日

川田 龍平   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案に示された後発医薬品の使用原則化とバイオ後続品の品質に関する質問主意書

 平成三十年二月九日に閣議決定された「生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案」(第百九十六回国会閣法第二〇号)では、生活保護制度における自立支援の強化、適正化の名目で、後発医薬品の使用を原則義務付けるとしているが、ここで定義される「後発医薬品」の中には、バイオ後続品(以下「バイオシミラー」という。)も含まれると整理したと聞くところである。しかしながら、欧米など海外にあっては、低分子化合物であって物理的化学的に先発医薬品と同一な主成分で構成される後発医薬品と、高分子化合物であり、物理的化学的にバイオ先行品と必ずしも同一とは限らないバイオシミラーとは、厳密に区別した議論をしており、バイオシミラーをして、「後発医薬品」とみなすような解釈は、国際比較論としていささか乱暴であると断じざるを得ない。以下、このような観点から政府の見解を質すものである。

一 「バイオシミラー」を「後発医薬品」と同じものと解している理由を明示されたい。

二 バイオシミラーの使用に際しては後発医薬品と同じとみなしているにも関わらず、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」等の定める製造販売にかかる承認申請手続きにおいては、バイオシミラーは後発医薬品とは別扱いとなっている。バイオシミラーと後発医薬品とが承認申請において別扱いになっているのであれば、これらの使用にあたっても別に扱うべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

三 バイオシミラーの製造販売にかかる承認申請手続きにおいて、後発医薬品と区別している理由を明らかにされたい。

四 バイオシミラーは、分子量が大きく複雑であり、さらに製造工程が複雑である故に、バイオ先行品と完全に同一であるとはいえない。然して、バイオシミラーは、免疫原性などにおいてバイオ先行品とは異なるリスクが潜在していることも考えられる。このような潜在的リスクを回避するための措置として、我が国の薬事制度にあっては、バイオシミラーに新薬と同様の医薬品リスク管理計画の策定や市販後調査が課せられていると理解している。このように、製造販売にかかる承認申請にあって慎重な取り扱いが予定され、免疫原性などのリスクも予見されるバイオシミラーの使用にあっては、使用後の経過観察を含む慎重な取り扱いが求められるものと考える。本法案にあっては、医師等が医学的知見から問題ないと判断するものについて後発医薬品を使用することとしているが、バイオシミラーが後発医薬品とは異なるものであるという観点にたち、バイオシミラーの使用にあたって医師等に慎重な判断をもとめているかどうかは判然としない。本法案が、医師等によるバイオシミラーの処方や薬剤師による調剤の変更などの手続きにおいて、バイオシミラーの特性を加味した慎重な判断を求めているのかについて政府の見解を明らかにされたい。あわせて、すでにバイオ先行品が処方され、継続使用している者に対して、一律にバイオシミラーへの変更を強要することになるのかについて、先述したバイオシミラーに特有のリスクを軽減するという観点から政府の見解を明らかにされたい。

五 前記「医師等が医学的知見から問題ないと判断するもの」の医師等の「等」に含まれる職種には、どのような職種が含まれるのか明らかにされたい。

  右質問する。