質問主意書

第195回国会(特別会)

答弁書


答弁書第四一号

内閣参質一九五第四一号
  平成二十九年十二月十九日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員石上俊雄君提出我が国の電線関連産業の持続的発展に向けた施策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石上俊雄君提出我が国の電線関連産業の持続的発展に向けた施策に関する質問に対する答弁書

一について

 政府としては、省エネルギー等の観点から、環境に配慮した特性を持った電線・ケーブルの開発及び普及は重要であると考えている。このため、経済産業省としては、電線・ケーブルの経済性等の評価に関する国際標準の開発を支援している。また、環境に配慮した電線・ケーブルを日本工業規格として定めているほか、「高温超電導の実用化促進に資する技術開発事業」において、超電導ケーブルを用いた送電システム等の実証を行い、こうした電線・ケーブルの実用化及び採用を後押ししている。

二について

 御指摘の「家庭や企業等を結んだ電力網を利用し、双方向に効率よく電力を流すことができる次世代送電網(スマートグリッド)」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、従来の集中型電源のみならず、普及が進んできている分散型電源を有効活用するため、蓄電池等のエネルギーリソースをIoT技術により統合制御し、電力の需給調整に活用するバーチャルパワープラントの実現に向けて取り組んでいる。その実現に向けて、蓄電池システムの低コスト化やIoT技術のセキュリティ対策が重要と認識している。
 そのため、蓄電池システムについては、蓄電池システムの設置費用の一部を補助する事業の中で、資源エネルギー庁や関係事業者等で構成する「エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス検討会」において示した平成三十二年までの目標価格以下の蓄電池のみを対象とすること等で低コスト化を図るとともに、その進捗を確認している。
 また、IoT技術のセキュリティについては、資源エネルギー庁等においてサイバーセキュリティに係るガイドラインを策定しており、必要に応じてその改訂を行っている。

三の1について

 お尋ねの「無電柱化による安全で快適なまちづくり」の意味するところが必ずしも明らかではないが、市街地等において無電柱化を推進することは、災害の防止、安全かつ円滑な交通の確保、良好な景観の形成等を図るために重要な取組であると考えている。
 このため、政府としては、従前から取り組んでいる電線共同溝の整備等に関する特別措置法(平成七年法律第三十九号)に基づく電線共同溝の整備に加え、無電柱化の推進に関する法律(平成二十八年法律第百十二号)に位置付けられた、無電柱化の迅速な推進及び費用の縮減を図るための技術開発、無電柱化の重要性に関する国民の理解と関心を深めるための広報等、無電柱化の推進に関する取組を行っているところである。

三の2について

 お尋ねの「各地域・具体的な箇所ごとのキーとなる様々なステイクホルダー」及び「成功事例等」の意味するところが必ずしも明らかではないが、無電柱化の推進を図る上で参考となる情報を関係者間で共有することは重要であると考えている。
 このため、政府としては、低コスト手法である管路を浅く埋設する方法と小型ボックスを活用する方法の普及を目的として平成二十九年三月に国土交通省が公表した「道路の無電柱化低コスト手法導入の手引き(案)」の地方公共団体等への周知を行い、また、道路管理者や関係事業者等により構成する地方ブロックごとに設けた無電柱化に関する協議会等において無電柱化の推進を図る上で参考となる情報を共有する等の取組を行っているところである。

四について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、政府としては、取引適正化の推進は電線・ケーブル製造業の健全な発達にとって重要な課題であると考えている。この観点から、経済産業省としては、平成二十九年二月に策定した「金属産業取引適正化ガイドライン」において、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)及び下請代金支払遅延等防止法(昭和三十一年法律第百二十号)に違反する行為のうち電線・ケーブル製造業に関係する事例等を紹介するとともに、一般社団法人日本電線工業会の主催する説明会への担当者の派遣等を通じて同ガイドラインの周知徹底に取り組んでいる。