質問主意書

第195回国会(特別会)

質問主意書


質問第五六号

食事手当に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年十二月八日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   食事手当に関する質問主意書

 二〇一七年六月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針二〇一七」は「働き方改革」において、同一労働同一賃金に関し「賃金だけでなく諸手当を含めた待遇制度の正規・非正規共通化等に取り組む企業を支援する」としている。
 働き方改革における同一労働同一賃金は「全体の賃上げ・待遇向上を前提」とする形で進められるべきであり、そのためには諸手当についても充実させていく必要があると考える。諸手当の中でも、食事手当は労働者の購買力や健康に好影響を与える効果があり、有効活用すべきである。食事手当の支給の具体的な方法としては、食事券での支給や社員食堂への補助などがあげられる。
 以上を前提に、以下質問を行う。

一 現物支給であるため貯蓄することができない食事手当の支給は、消費を喚起し、景気への好影響がある。それだけではなく、労働者の健康を改善することで生産性を上げる効果もあると考える。食事手当の意義について認識を示されたい。

二 食事手当の普及率はどのような推移となっているか。また、社員食堂の普及率や食事券の導入状況についてはどうか。最新の情報を含め、明らかにされたい。

三 食事手当は、源泉所得税における非課税項目である(所得税基本通達三六-三八の二)。会社が支給する食事代の補助が一ヶ月あたり最大三千五百円(本人も同額以上負担)であれば非課税となる。食事手当が一九七五年に非課税措置された時には、非課税限度額は二千五百円だったが、一九八四年に改正され三千五百円となった。それ以降、非課税限度額は三十年以上一度も改正されていない。
 一九八四年七月十二日の衆議院大蔵委員会にて、国税庁直税部長(当時)は、「様々な規模の企業の実態調査の結果、企業の負担額と従業員の負担額を合わせた一ヶ月当たりの食事代六千八百円程度を基に、その半分程度の額として三千五百円の上限が決まった」、「非課税限度額について、給与の支給の実態等を踏まえ、必要に応じ検討を行う」旨それぞれ発言している。
 一九八四年以降、食事代について、企業及び従業員の負担額の調査を行っているか。調査をしていない場合、その理由を明らかにされたい。また、当時の直税部長は、必要に応じ検討を行う旨述べたが、新生銀行の「二〇一七年サラリーマンのお小遣い調査」によると、男性会社員の一日の平均昼食代は五百九十円、女性会社員の一日の平均昼食代は五百八十一円である。これを基にすると、一九八四年当時と比べて経済状況が変化しており、「必要に応じ検討を行う」状況となっていると考えるが政府の見解如何。

四 二〇一七年四月一日から、「キャリアアップ助成金」に「諸手当制度共通化コース」が設けられた。当該コースは、短期的に同一労働同一賃金を推進する効果があると思われる。だが、助成は一事業所当たり一回限りとなっており、共通の諸手当制度の長期的な維持へのインセンティブという点で課題があると考える。
 「諸手当制度共通化コース」への申請はこれまでに何件あるのか。また、当該コースの新設に向けた必要経費の積算において、政府は当該コースの利用規模(申請数、支給額等)がどの程度であると見込んでいたのか。

  右質問する。