質問主意書

第195回国会(特別会)

質問主意書


質問第五四号

HIV感染症の早期発見への具体的施策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年十二月八日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   HIV感染症の早期発見への具体的施策に関する質問主意書

 エイズの原因となるHIV感染症に関し、世界中での新規感染者数は一九九七年の三百五十万人をピークに減少に転じ、死者もピーク時の二百万人の約半分に減っている。ただ、日本の新規感染者数は近年も年間千五百人前後で横ばいとなっている。
 HIV感染症は治療薬の進歩により、「不治の特別の病気」から「コントロール可能な慢性疾患」へと変化してきていると言われている。早期発見や即時治療開始により、高い生活の質(QOL)を維持しつつ、HIV非感染者に近い平均寿命を達成することも可能である。従って、「早期発見」と「即時治療開始」が極めて重要と考え、以下質問する。

一 厚生労働省エイズ動向委員会報告によれば、二〇一六年に新たに報告された国内のHIV感染者は千十一人、発症後に感染に気付いたエイズ患者は四百三十七人で計千四百四十八人とされている。この数字からも分かるように、エイズ発症後にHIV感染と診断される「いきなりエイズ」の患者数は、引き続き高い水準にある。
 HIV抗体検査は、治療開始の最初のステップであり、感染防止にもつながるという意味で非常に重要である。検査率の上昇による早期発見の増加なくしては治療も感染防止も不可能だと考えるが、HIV抗体検査の重要性に関する政府の認識を示されたい。

二 HIV抗体検査受診率が上昇すれば、現状の「いきなりエイズ」の患者数を減少させる余地はまだまだ大きいと考えるが、政府の認識を伺う。

三 二〇一六年の保健所等でのHIV抗体検査件数は、約十一万八千件(前年約十二万八千件)で、相談件数は約十一万九千件(前年約十三万五千件)であった。二〇〇八年の検査数は約十七万七千件であり、保健所等でのHIV抗体検査件数は減少傾向にある。
 このHIV抗体検査の減少傾向に歯止めを掛けるために、検査の必要性をこれまで以上に広報することに加え、特設検査施設の増設・充実や保健所の夜間・土日検査を普及させる等、検査の利便性を充実させることも重要だと考えるが、政府の所見を問う。

  右質問する。