質問主意書

第195回国会(特別会)

質問主意書


質問第五二号

森林環境税の導入に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年十二月八日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   森林環境税の導入に関する質問主意書

 本年十一月二十一日、総務省の有識者検討会が森林環境税の具体的な制度設計に関する提案についての報告書を公表した。それを受けて、与党が今月下旬に策定する平成三十年度税制改正大綱に森林環境税の導入が盛り込まれる見通しと報じられている。
 同報告書が提案している森林環境税の制度設計は、個人住民税均等割の納税義務者約六千二百万人に対して、毎年千円の森林環境税を個人住民税と併せて賦課徴収し、その納税額約六百二十億円を私有林人工林面積や林業従事者数などに応じて、森林環境譲与税として森林所在市町村等に譲与する仕組みとされている。
 この構想について、以下の通り質問を行う。

一 森林環境・水源環境の保全等を目的にした超過課税を神奈川県など三十七府県と横浜市が導入している。
 前記報告書では、森林環境税は、政府が現在検討している新たな森林管理システムを契機として市町村が実施する森林整備等に必要な財源に充てるものと位置付けられ、自治体が行っている前記の超過課税との関係の整理が円滑に進むよう、国として必要な対応を行うべきであるとしている。
 しかし、森林環境・水源環境の保全等を目的とする超過課税と森林環境税の目的は同様であり、また、両者は同時に賦課徴収されるため、前記超過課税がある自治体やその住民からすると、国と地方による二重課税としか言いようがない。前記三十七府県一市の住民が納得する説明が必要と考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

二 地方分権の流れの中で、自治体の課税自主権は尊重されるべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

三 前記報告書の具体的な制度設計が実現した場合、都市部の市町村の住民は、全国一律の重い税負担となるにもかかわらず、私有林人工林面積等が少ないため自身の市町村への森林環境税の譲与は少額にとどまるため、税負担に見合った恩恵が受けられない。このような税負担と恩恵の不均衡について、都市部の市町村の住民の理解が得られると考えているのか、政府の認識を示されたい。

四 森林環境税導入時期はいつか。また、その時期は何を根拠に決定するのか明らかにされたい。もし、現時点で導入時期についての方針が定まっていないとしたら、いつになれば導入時期についての方針が定まるのか明らかにされたい。

  右質問する。