質問主意書

第195回国会(特別会)

質問主意書


質問第四三号

「いわゆる日本人配偶者」に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年十二月八日

有田 芳生   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   「いわゆる日本人配偶者」に関する再質問主意書

 私が平成二十九年十一月十七日付けで提出した「「いわゆる日本人配偶者」に関する質問主意書」(第百九十五回国会質問第一六号)に対する答弁(内閣参質一九五第一六号。以下「この答弁書」とする)について疑義がありますので、政府の認識と取組みに関し再度質問いたします。

一 政府は、この答弁書の「一、二の前段及び三の後段について」で、「「いわゆる日本人配偶者」については、御指摘のいわゆる「ストックホルム合意」に記載されているとおりであり、これ以上の日朝間の協議の内容に関わる事柄について明らかにすることは、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えを差し控えたい」としています。この答弁では「いわゆる日本人配偶者」がどういう問題であるのかを理解できる国民はいないと判断します。改めてお尋ねしますが、「いわゆる日本人配偶者」とはどういう問題であるのかを明らかにして下さい。
 併せて、政府は、国民が納めた税金で日朝交渉を行いながら、国民に対して日朝交渉の内容等を十分に説明しようとしていません。このような政府の態度は、国民の知る権利を侵害していると考えるものですが、この点について政府の認識をお聞かせ下さい。

二 政府は、この答弁書の「三の前段及び四について」で、「北朝鮮に渡った日本人の総数は、六千八百三十六人であり、そのうち女性は四千百五十九人であったと把握している。また、当該四千百五十九人のうち、いわゆる日本人配偶者と推定される者については、千八百三十一人であったと把握している」としています。この千八百三十一人について、ストックホルム合意以降、北朝鮮側に対し、何人が生存しているかを確認しましたか。また、政府としては、この千八百三十一人について、現時点で何人が生存していると認識していますか。

三 政府は、前記二の千八百三十一人の家族及び親族の住所及び連絡先等を把握していますか。

四 政府は、拉致問題対策本部事務局を通じて「北朝鮮による拉致の可能性を排除できない失踪者の御家族の皆様へ」と題し、ストックホルム合意における行方不明者の家族に対して、拉致問題に関する資料を送付しています。
 そこでお尋ねしますが、「いわゆる日本人配偶者」の家族に対して、行方不明者の家族への資料送付と同様に、資料を送付していますか。もし、送付していないのならその理由をお示し下さい。また、送付していないことは不公平な取り扱いでないのか、政府の見解を併せてお示し下さい。

五 政府は、「いわゆる日本人配偶者」の問題の解決のための具体的な取組みについて、この答弁書の「八について」で、「網羅的にお答えすることは困難である」としています。それでは、現在政府が取り組んでいる「いわゆる日本人配偶者」の問題の解決のための具体的な取組みの中から三事業(啓発冊子の配布を除く。)を選んで具体的に説明して下さい。また、「八について」にある「啓発冊子の配布等の取組」について、配布している啓発冊子の名前を全て教えて下さい。

六 私が平成二十六年十月一日付けで提出した「安倍総理と北朝鮮による拉致被害者家族連絡会等との面談に関する質問主意書」(第百八十七回国会質問第九号)に対する答弁(内閣参質一八七第九号)の「三、七及び八について」の中で、「したがって、同項の認定がなくとも、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない者の家族に対しても必要に応じ、適宜適切に情報提供を行うとともに、適切な部署において面談を行っている」としています。
 そこでお尋ねしますが、政府は、同様の取組みを、ストックホルム合意に明記されている「いわゆる日本人配偶者」、「残留日本人」、「一九四五年前後に北朝鮮域内で死亡した日本人」の家族・親族にも行っているのですか。行っている場合は取組み実績を、行っていない場合はその理由をそれぞれ明らかにして下さい。

七 拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律(平成十八年法律第九十六号)第六条第二項は、「政府は、脱北者の保護及び支援に関し、施策を講ずるよう努めるものとする」と規定しています。政府はストックホルム合意以降、同項に基づき、どのような施策を講じてきたのか、年度別に明らかにして下さい。また政府は、現在日本に居住している脱北者から、ストックホルム合意に明記されている全ての日本人に関する情報について、面談等により収集した実績がありますか。

八 同法第六条第三項は、「政府は、第一項に定める民間団体に対し、必要に応じ、情報の提供、財政上の配慮その他の支援を行うよう努めるものとする」と規定しています。そこでお尋ねしますが、ストックホルム合意以降、政府がこの規定に基づく支援を行った民間団体の名称、財政上の配慮の金額、その他の支援内容について年度別に明らかにして下さい。

  右質問する。