質問主意書

第195回国会(特別会)

質問主意書


質問第二七号

インドネシア共和国におけるチレボン石炭火力発電所拡張事業を対象とした貸付実行に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年十二月五日

石橋 通宏   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   インドネシア共和国におけるチレボン石炭火力発電所拡張事業を対象とした貸付実行に関する質問主意書

 日本政府が全株式を保有する株式会社国際協力銀行(以下「国際協力銀行」という。)は、平成二十九年四月十八日に、インドネシア共和国(以下「インドネシア」という。)におけるチレボン石炭火力発電所拡張事業(以下「本事業」という。)を対象として、融資金額約七億三千百万米ドルを限度とする貸付契約を締結した。ところが、インドネシアの地方行政裁判所が、本年四月十九日、本事業に係る環境許認可(二〇一六年五月にインドネシア西ジャワ州政府が発行)を無効とする判決を下したため、国際協力銀行は貸付実行を控え、判決内容の「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)への適合性について精査せざるを得ない状況となっていた。
 その後、同年七月十七日に、インドネシア西ジャワ州政府が本事業に係る新たな環境許認可(以下「新許認可」という。)を発行したため、国際協力銀行は新許認可を精査の上、ガイドラインへの適合性が確認出来たとして、本年十一月十四日、本事業に対する初回の融資を実行した。しかしながら、新許認可の法的な有効性および発行手続きの妥当性については、インドネシアの行政裁判所において訴えが提起されるなど疑義が呈されており、裁判の結果如何では、国際協力銀行の当該融資決定に対して、国内だけでなく、国際的にも深刻な批判・非難が浴びせられる懸念がある。
 以上の経過を踏まえ、国際協力銀行の貸付におけるガイドラインへの適合性と説明責任の確保を求める観点から、以下、質問する。

一 本事業に対する国際協力銀行の貸付実行について、次回以降の貸付時期および貸付完了までの期間の目処を明らかにされたい。

二 本事業に対する国際協力銀行の貸付実行は、特にインドネシアにおける新許認可の有効性に係る訴訟が係争中である場合には、次回以降の貸付実行の事前および事後にも、新許認可の有効性および発行手続きの妥当性を含むガイドラインへの適合性について説明責任が果たされるべきだと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 今後、本事業に対する新許認可の有効性や発行手続きの妥当性について、インドネシアの裁判所においてインドネシアの法令や基準等に係る違反が認められたならば、ガイドラインの「相手国及び当該地方の政府等が定めた環境に関する法令や基準等」の遵守という規定に本事業が反していることとなる。その場合、国際協力銀行は「意思決定後の環境レビュー時に適切な環境社会配慮を確認できない場合には、融資契約に基づき、貸付等の実行を停止するとともに、借入人に期限前償還を求める」というガイドラインの規定に基づく対応を行い、当該借入人に期限前償還を直ちに求めるべきだと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。