質問主意書

第195回国会(特別会)

質問主意書


質問第二六号

障害者基本法の改正に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年十二月四日

川田 龍平   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   障害者基本法の改正に関する質問主意書

 障害者基本法の一部を改正する法律(平成二十三年法律第九十号。以下「障害者基本法改正法」という。)は、附則第二条において、「国は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律による改正後の障害者基本法の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」と規定しているが、同法の施行から三年以上が経過した現在、未だに同条に基づく障害者基本法の改正はなされていない。そこで、以下、質問する。

一 谷博之参議院議員が第百六十九回国会に提出した「法改正を先送りしている法律に関する質問主意書」(第百六十九回国会質問第四五号)に対する答弁(内閣参質一六九第四五号)において、附則の「検討条項」に定められた期間を経過しているにもかかわらず検討結果に基づいた改正がされていないとして挙げられた法律のうち、障害者基本法改正法と同様に「施行後〇年を経過した場合において」との表現で「検討条項」が規定されていた法律は、電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(平成十四年法律第六十二号)、牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法(平成十五年法律第七十二号)、インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(平成十五年法律第八十三号)、電気事業法及びガス事業法の一部を改正する等の法律(平成十五年法律第九十二号)、労働基準法の一部を改正する法律(平成十五年法律第百四号)、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(平成十五年法律第百十一号)、航空法の一部を改正する法律(平成十五年法律第百二十三号)、特定家庭用機器再商品化法(平成十年法律第九十七号)、電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成十二年法律第百四号)、少年法等の一部を改正する法律(平成十二年法律第百四十二号)、確定給付企業年金法(平成十三年法律第五十号)、計量法の一部を改正する法律(平成十三年法律第五十四号)、自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律(平成十三年法律第五十七号)、確定拠出年金法(平成十三年法律第八十八号)、銀行法等の一部を改正する法律(平成十三年法律第百十七号)、自然再生推進法(平成十四年法律第百四十八号)、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(平成十一年法律第八十六号)、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律(平成九年法律第八十五号)であった。これらの中で、「検討条項」を踏まえ、対応につき検討中であり、現時点で未だに結論を得るに至っていない法律があれば、その法律名と理由を挙げられたい。

二 障害者基本法改正法の施行後三年を経過してから本質問の提出までの間、同法附則第二条に基づき、同法による改正後の障害者基本法の施行の状況について検討を行った事実はあるか。当該事実があるとすればいつどのような検討が行われたのか。また、その検討結果を得るに至っていない場合、検討結果を得るのはいつと見込んでいるのか。

三 障害者基本法改正法附則第二条が設けられた経緯として、平成二十三年の法改正に先立ってとりまとめられた障がい者制度改革推進会議の「障害者制度改革の推進のための第二次意見」(平成二十二年十二月十七日)について、障害者基本法改正法にはその内容を取り入れない代わりに、障害者の権利に関する条約の批准後に、締約国として必要な法整備を行う際に取り入れていくという議論が政府内であったと聞いているが、それは事実か。

四 平成二十八年十二月の第三十一回障害者政策委員会において、全国地域生活支援ネットワークの北岡委員が、「障害者基本法の改正について、この場でも議論を進めるべきではないか」、「五年経っているということで、三年後の見直しということから、二年経過している」、「意思決定支援や権利擁護や虐待防止という項目も、障害者基本法の中で議論されてもいいのではないか」、「第四次計画を進めていく上での課題として議論できるようにしていただけないか」と発言しているにもかかわらず、なぜこれまで同委員会での議題に障害者基本法の改正を取り上げてこなかったのか。

五 前記四の北岡委員の提起した課題以外にも、インクルーシブ教育の推進や精神障害者の医療福祉の充実、障害者差別の禁止や政策委員会の構成の見直しといった課題があり、これらを実現するためにも障害者基本法を改正する必要があると考えるが、政府の見解はいかがか。

六 障害者政策委員会の前身である障がい者制度改革推進会議の担当室には、室長以下、障害者団体から常勤を含め五名の出向者が週五日間勤務していたが、障害者政策委員会の事務局である障害者制度改革担当室(以下「事務局」という。)には、現在、障害者団体からは非常勤の顧問一名の他には職員が出向していない。専門性の確保や障害者の実態の把握などの面から、障害者団体の代表者等を同委員会の委員に任命するだけではなく、障害者団体の職員を一定数、週五日勤務という常勤的な勤務形態で事務局に出向させることも必要なのではないか。障害者の権利に関する条約第四条第三項では、障害者施策の策定・実施や意思決定過程において障害者を代表する団体を通じ、障害者と緊密に協議し、障害者を積極的に関与させる旨が規定されており、障害者団体から事務局への出向はむしろ積極的に推進するべきではないか。この点から、障害者団体からの出向者が事務局に一名もいないというのは、同項の趣旨から後退していると考えるがいかがか。

七 障害者政策委員会の所掌事務について、障害者基本法第三十四条第一項は「政策委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。」と定め、同条第二項で「政策委員会は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。」と定めているが、この「前項に規定する者以外の者」には裁判所や国会も含まれうると解釈してよいか。

  右質問する。