質問主意書

第195回国会(特別会)

質問主意書


質問第一八号

座間市における事件の再発防止に資する若者の情報通信メディアの利用実態に合わせた自殺予防相談体制の確立に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年十一月二十二日

藤末 健三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   座間市における事件の再発防止に資する若者の情報通信メディアの利用実態に合わせた自殺予防相談体制の確立に関する質問主意書

 総務省の「平成二十八年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によれば、十代及び二十代の若者による平日のコミュニケーション系ツールの一日当たり平均利用時間は、携帯電話及び固定電話の利用時間が五分以内であるのに対して、SNSの利用時間は六十分程度である等、SNSの利用が顕著であることが分かる。
 政府が「こころの健康相談統一ダイヤル」等による自殺相談窓口を設けていることは評価できる。しかし、若者におけるコミュニケーション系ツールの主流であるSNSを活用した自殺相談窓口が整備されていないのが現状である。座間市のアパートで九人の遺体が発見された事件では、SNSを利用した相談の場を得られなかった若者が当該事件の被疑者にSNSを通じて相談したことも、当該事件が発生した要因の一つと考えられている。
 以上を踏まえ、以下質問する。

一 前記の総務省の調査を受けて、若者はコミュニケーション系ツールとして主にSNSを利用しているという認識を政府は持っているのか。

二 長野県が実施するいじめ・自殺に係る相談事業のうち、平成二十八年度に学校生活相談センターに寄せられた電話・メールによる相談件数が一日当たり平均一・八件であったのに対し、本年九月に二週間にわたり実施されたLINEを利用した事業では一日当たり平均百十二・八件のアクセスがあった。政府は、自殺相談窓口として、電話・メールとSNSのどちらの方がより若者の現状に即していると考えているのか。

三 自殺総合対策大綱(平成二十九年七月二十五日閣議決定)では、自殺対策について「地域の相談窓口が住民にとって相談しやすいものになるよう体制の整備を促進する」としているが、音声電話に限定した相談窓口だけで「住民にとって相談しやすい」体制が整備されていると考えているのか、政府の見解を示されたい。

四 文部科学省は、平成三十年度予算の概算要求に児童生徒を対象とする「SNSを活用した相談体制の構築に向けた調査研究」を盛り込んでいるが、政府は同研究の背景及び期待される効果をどのように考えているか説明されたい。

五 今後国及び地方公共団体が行う自殺対策においては、児童生徒以外の若者についても、SNSを活用した相談を行えるよう体制を整備すべきではないか。

  右質問する。