質問主意書

第195回国会(特別会)

質問主意書


質問第一六号

「いわゆる日本人配偶者」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年十一月十七日

有田 芳生   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   「いわゆる日本人配偶者」に関する質問主意書

 平成二十六年五月の日朝間におけるストックホルム合意において、日本が北朝鮮に調査を要請した「いわゆる日本人配偶者」(以下「日本人配偶者」とする)に関し、政府の認識と取組みについて質問いたします。

一 ストックホルム合意に示された日本人配偶者の問題とはどういう問題なのか、そしてこの問題の解決とはどういうことなのか、政府の認識を明らかにして下さい。

二 ストックホルム合意以降、日本人配偶者の問題について北朝鮮とこれまで何回交渉されましたか。また、日本政府においてこの問題を所管する府省はどこですか。

三 平成四年一月の外務省アジア局「アジア要覧」に、「一九八五年四月末現在六千六百七十九名の日本人が北朝鮮帰還協定による措置等で渡航した」とありますが、この認識に変更はありますか。また、ストックホルム合意時点で、日本人配偶者は何人生存していたのかを男女別に明らかにして下さい。

四 昭和五十五年五月七日の衆議院法務委員会において、当時の小杉照夫法務省入国管理局長は、「日本国籍のまま北朝鮮に渡った方の総数は男女合計で六千六百七十一名、そのうち女性は四千八十二名(中略)。この女子の数字は独身女性あるいは子供等をも含んだ数字で(中略)リストに即して再点検いたしました結果、現時点でいわゆる日本人妻と推定される者の数は千八百二十八名」と答弁しています。この認識に変更はありますか。

五 昭和三十三年十二月に朝鮮総連が発行した「在日同胞たちの帰国実現のために-帰国問題に関する資料および問答集-」には、「帰国する同胞には名実ともに、共和国政府から幸福な新生活を営む条件を充分に与えられる」、「帰国する同胞は、国内のと同じく高層住宅やあるいは農村の文化住宅を保障を受ける」、「わが国が楽園と呼ばれるのはごく当たり前のことだ」といった説明が並んでいます。
 当時の政府の北朝鮮に対する認識も、この朝鮮総連が発行した問答集の説明と同じものでしたか。昭和三十三年当時、政府は北朝鮮をどのように認識していたのかを明らかにして下さい。

六 昭和三十四年十一月五日付の朝日新聞は、朝鮮総連の帰還申請統制が行き届き、帰還申請者が全国にまたがっているのは、朝鮮総連が「一時にどっと登録しては窓口が混乱、帰還船の出港が遅れるという理由で、総連各地方本部に帰還船の収容力(各船約千人)に合わせた都道府県別の登録数割当を行ない、統制のとれた申請を行なうよう指示したため」と報じています。
 政府は、帰国事業には北朝鮮本国並びに朝鮮総連による意図的な統制があったとの認識をお持ちですか。それとも、北朝鮮への帰国は渡航者の自由意思に基づくもので、帰国事業には北朝鮮本国並びに朝鮮総連による意図的な統制はなかったとお考えですか。政府の認識を明らかにして下さい。

七 北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律第二条の規定に基づき、現在、被害者として認定されている日本国民は十七名です。ところが、日本人配偶者は誰一人として認定されていません。日本人配偶者が同条にいう被害者に認定されていない理由を明らかにして下さい。併せて、この法律にある「拉致」の定義について、政府の認識をお示し下さい。

八 政府は、これまで繰り返し「ストックホルム合意に基づき、拉致問題をはじめとする日本人に関する全ての問題の解決に向け全力を尽くす」ことを公言しています。そこでお尋ねしますが、日本人配偶者問題の解決のためにどのように全力を尽くされてきたのか、その具体的な取組みについて丁寧かつ詳細に説明して下さい。

  右質問する。