質問主意書

第195回国会(特別会)

質問主意書


質問第四号

ストックホルム合意における「日本人配偶者」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年十一月一日

有田 芳生   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   ストックホルム合意における「日本人配偶者」に関する質問主意書

 ストックホルム合意(平成二十六年五月二十九日)に明記されている「いわゆる日本人配偶者」について質問いたします。

一 私が平成二十五年一月三十一日付けで提出した「「北朝鮮人権法」に関する質問主意書」(第百八十三回国会質問第一三号)に対する答弁(内閣参質一八三第一三号。以下「答弁書第一三号」とする)の一についてで、政府は、「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」(平成十八年法律第九十六号。以下「北朝鮮人権法」とする)第一条に規定する北朝鮮当局による人権侵害問題には、我が国国民の拉致の問題のほか、「過去に朝鮮半島出身者である夫等に随伴して北朝鮮に渡航した日本人配偶者の安否確認及び故郷訪問についての問題」がふくまれると解しているとしています。
 ストックホルム合意に明記されている「いわゆる日本人配偶者」の問題とは、答弁書第一三号にある「過去に朝鮮半島出身者である夫等に随伴して北朝鮮に渡航した日本人配偶者の安否確認及び故郷訪問についての問題」を指していると理解してよろしいですか。政府の認識をお示し下さい。

二 北朝鮮人権法第二条及び第三条では、国や地方公共団体の責務として、拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題に関する国民世論の啓発を図るよう努めるものとすることが規定されており、このことは、平成二十三年四月一日の閣議決定で一部変更された「人権教育・啓発に関する基本計画」(以下「基本計画」とする)においても確認されています。
 北朝鮮人権法にいう「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題」には、答弁書第一三号にある「過去に朝鮮半島出身者である夫等に随伴して北朝鮮に渡航した日本人配偶者の安否確認及び故郷訪問についての問題」がふくまれていると理解してよろしいですか。

三 北朝鮮人権法では、国及び地方公共団体の責務として、拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題に関する国民世論の啓発を図るよう努めるものとすることが規定され、基本計画では、「拉致問題等の解決には、幅広い国民各層及び国際社会の理解と支持が不可欠であり、その関心と認識を深めることが求められている。」とされています。
 政府は、平成二十六年度以降、「いわゆる日本人配偶者」の問題について国民世論を啓発するためにどのような施策を実施してきたのか、年度別に具体的にお示し下さい。

四 答弁書第一三号にある「過去に朝鮮半島出身者である夫等に随伴して北朝鮮に渡航した日本人配偶者」は、本人の自由意思で日本に帰国することができず、移動の自由、通信の自由などの基本的人権が侵害されていると捉えるものですが、政府は、「いわゆる日本人配偶者」は北朝鮮においてどういう人権が侵害されているとお考えですか。政府の認識をお示し下さい。

五 平成二十六年三月十七日に国連人権理事会に提出された「朝鮮民主主義人民共和国における人権に関する国連調査委員会の報告書」の詳細版では、「F.拉致を含む外国からの強制失踪」の「一.拉致とその他の強制及び非自発的失踪の期間とタイプ」の中で、「(e)一九五九-一九八四:「地上の楽園」帰還運動期に日本から北朝鮮へ移住した朝鮮民族及び日本人の強制失踪」(以下「(e)」とする)との項目を設けています。
 (e)の中で記述されている「朝鮮人男性と結婚した「日本人妻」」とは、国連人権理事会が指摘する北朝鮮における「人道に対する罪」の被害者であると政府はお考えですか。また、ストックホルム合意に明記されている「いわゆる日本人配偶者」のことと理解してよろしいですか。

六 政府は、前記五の報告書が公表されて以降、(e)に関する事項について、国連及び国際社会に対してどのような働きかけや啓発活動を行ってきましたか。年度ごとに実績をお示し下さい。

七 「いわゆる日本人配偶者」は、「北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律」(平成十四年法律第百四十三号)第二条に定義する「被害者」に該当しますか。該当しない場合は、その理由を明らかにして下さい。

  右質問する。