質問主意書

第194回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二九号

グアムに向かう北朝鮮ミサイルの迎撃に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年九月二十八日

小西 洋之   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   グアムに向かう北朝鮮ミサイルの迎撃に関する質問主意書

 小野寺防衛大臣は、平成二十九年八月十日の衆議院安全保障委員会において、北朝鮮がグアムに向かってミサイルを撃った場合に日本がSM3ブロック2Aで撃ち落とすことが存立危機事態における集団的自衛権の行使により法的に可能かとの旨の質疑に対して、「これが我が国に対する存立危機事態になって新三要件に合致するということになれば、それは対応できるということになると思います」と答弁している。
 これを踏まえ、質問する。

一 政府は、北朝鮮がグアムに向かってミサイルを撃った場合に、それが我が国の存立危機事態に該当することがあり得ると考えているのか。また、これは、安保法制の審議時から新たに追加された政府が認識する存立危機事態の事例なのか。明確に答弁されたい。

二 前記一において、存立危機事態に該当することがあり得ると考える場合は、それがなぜ、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」に該当すると考えるのか、その理由を具体的に示されたい。

三 政府は、北朝鮮がグアムに向かってミサイルを撃った場合に、それが限定的な集団的自衛権行使を発動できる要件であるところの武力行使の新三要件を満たすことがあり得ると考えているのか。明確に答弁されたい。

四 前記三において、武力行使の新三要件を満たすことがあり得ると考える場合には、当該要件に適合すると考える理由を要件ごとに示されたい。

五 前記四について、平成二十九年八月十日に小野寺防衛大臣は「日本の安全保障にとって米側の抑止力が、打撃力が欠如するということは、これは日本の存立の危機に当たる可能性がないとは言えない」と答弁しているが、この「米国の打撃力の欠如」とは何を意味するのか。

六 前記三のうち、武力行使の新三要件を満たす場合において、日本が限定的な集団的自衛権を発動しグアムに向かうミサイルを迎撃した場合は、北朝鮮により日本は敵国と看做され、日本列島やその中の在日米軍基地が北朝鮮のミサイル攻撃の危険にさらされることになると考えるが、こうした危険の有無は武力行使の新三要件への適合性の判定に何らかの影響を与えるのか、あるいは、一切影響を与えることはないのか、明確に説明されたい。

七 前記六において、日本が限定的な集団的自衛権を発動しグアムに向かうミサイルを迎撃すれば、今後は、日本そのものが北朝鮮のミサイル攻撃の対象になり日本国民の生命等に大きな犠牲が生じ得ると考えるが、米国を守るためあるいは日米同盟の維持のためにこれはやむを得ない犠牲であると考えているのか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。