質問主意書

第194回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二八号

限定的な集団的自衛権行使の必要性の矛盾に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年九月二十八日

小西 洋之   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   限定的な集団的自衛権行使の必要性の矛盾に関する質問主意書

一 衆議院議員稲葉誠一君提出「憲法、国際法と集団的自衛権」に関する質問主意書(第九十四回国会質問第三二号)における「五 集団的自衛権が「ない」ということで我が国の防衛上、実質的に不利を蒙むることはあるか。」との質問に対して、政府は、「一から五までについて 国際法上、国家は、集団的自衛権、すなわち、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもつて阻止する権利を有しているものとされている。我が国が、国際法上、このような集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上、当然であるが、憲法第九条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであつて、憲法上許されないと考えている。なお、我が国は、自衛権の行使に当たつては我が国を防衛するため必要最小限度の実力を行使することを旨としているのであるから、集団的自衛権の行使が憲法上許されないことによつて不利益が生じるというようなものではない。」と答弁(内閣衆質九四第三二号)しているところである。
 この答弁に示されている政府の見解について、安倍内閣において変更があるものがあるか。ある場合は、その内容を具体的に示されたい。

二 前記一の「我が国は、自衛権の行使に当たつては我が国を防衛するため必要最小限度の実力を行使することを旨としているのであるから、集団的自衛権の行使が憲法上許されないことによつて不利益が生じるというようなものではない。」における「自衛権の行使」あるいは「必要最小限度の実力を行使」には意味として限定的な集団的自衛権の行使が含まれているのか。明確に示されたい。

三 前記二の「集団的自衛権の行使が憲法上許されないこと」における「集団的自衛権の行使」はフルスペックの集団的自衛権行使を指すのか、あるいは、限定的な集団的自衛権行使以外の集団的自衛権行使を指すのか、さらには、限定的な集団的自衛権行使のみを指すのか、安倍内閣が認識するところの意味を明確に示されたい。

四 「我が国は、自衛権の行使に当たつては我が国を防衛するため必要最小限度の実力を行使することを旨としているのであるから、集団的自衛権の行使が憲法上許されないことによつて不利益が生じるというようなものではない。」との政府見解があるにも関わらず、いかなる理由によって、安倍内閣は平成二十六年七月一日の憲法第九条の解釈変更に係る閣議決定において限定的な集団的自衛権行使が必要であると考えたのか。その根拠を具体的に示されたい。

  右質問する。