質問主意書

第193回国会(常会)

答弁書


答弁書第一四一号

内閣参質一九三第一四一号
  平成二十九年六月二十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員石上俊雄君提出我が国製造業の事業環境改善に資する税制・経済連携に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石上俊雄君提出我が国製造業の事業環境改善に資する税制・経済連携に関する質問に対する答弁書

一について

 様々な物にセンサ等が埋め込まれ、収集された多量の情報がインターネットでやり取りされるいわゆるIoTに係る研究開発や設備投資の更なる促進は、IoT等による第四次産業革命の進展で国際競争が激化する中で、日本企業の生産性向上による競争力強化のために重要である。
 研究開発については、平成二十九年度税制改正において、IoT、いわゆるビッグデータ解析、人工知能等を活用した第四次産業革命による新たなビジネスの創出を支援する観点から、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)に規定する試験研究を行った場合の法人税額の特別控除において、試験研究費の範囲に、対価を得て提供する新たな役務の開発に係る試験研究のために要する一定の費用を加えたところである。
 設備投資については、特に、中小企業の生産性向上を図る観点から、中小企業等経営強化法(平成十一年法律第十八号)における認定経営力向上計画に記載されたIoTに関するものを含む経営力向上設備等に関して、固定資産税の軽減措置や中小企業経営強化税制による法人税等における即時償却又は税額控除といった措置を講じている。
 今後も、IoT等による第四次産業革命を最大限活用し、日本企業の国際競争力強化を図るため、様々な手段について検討してまいりたい。

二について

 環太平洋パートナーシップ(以下「TPP」という。)協定に関し、本年五月にベトナム・ハノイで開催された閣僚会合では、米国を除くTPP協定の原署名国十一箇国(以下「十一箇国」という。)が結束を維持しつつTPPの早期実現を図るという共通の意思を表明するとともに、米国の参加を促進する方策を検討することを表明した。これを踏まえ、TPPの早期実現に向けた本格的検討が、本年七月に我が国が主催する高級事務レベル会合で始まる。十一箇国で緊密に連携し、本年十一月のアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議に向けて議論を前進させたい。また、TPPを推進する意図について引き続き米国に説明を行っていくなど、我が国として十一箇国と米国との橋渡し役を担っていく考えである。
 政府としては、経済連携協定に関する交渉に当たっては、労働、環境等を含む幅広い分野で新たなルールを形成することを重視して、取り組んでいる。今後も、御指摘の点も踏まえながら、日EU経済連携協定、東アジア地域包括的経済連携等の経済連携に関する交渉において、国益にかなう最善の道を追求してまいりたい。