質問主意書

第193回国会(常会)

答弁書


答弁書第一一〇号

内閣参質一九三第一一〇号
  平成二十九年五月二十六日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員川田龍平君提出六ヶ所再処理工場の稼働により生成されるプルトニウム等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出六ヶ所再処理工場の稼働により生成されるプルトニウム等に関する質問に対する答弁書

一及び四について

 我が国におけるプルトニウム利用に関しては、原子力委員会が「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方について」(平成十五年八月五日原子力委員会決定。以下「基本的な考え方」という。)を示すとともに、基本的な考え方において、電気事業者に対し、プルトニウムの所有者、所有量及び利用目的を記載した利用計画を毎年度プルトニウムを分離する前に公表することを求めている。
 また、電気事業連合会においては、平成二十八年三月二十九日の原子力委員会定例会議において、「「全国の十六~十八基の原子炉でプルサーマルの導入を目指す」という方針については(中略)この考え方に変わりはない」、「電気事業者としては、引き続き、各社における発電所再稼働の見通し、再処理工場の操業時期等を踏まえながら、遅くとも、新たなプルトニウムの回収が開始されるまでにはプルトニウム利用計画及びプルサーマル計画を策定し公表することで進め」る旨を表明していると承知している。
 さらに、原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律(平成二十八年法律第四十号。以下「一部改正法」という。)による改正後の原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施に関する法律(平成十七年法律第四十八号)の規定に基づき、経済産業大臣は、使用済燃料再処理機構が定め又は変更する使用済燃料の再処理等の実施に関する中期的な計画を認可することとしており、この際、一部改正法の国会審議における平成二十八年四月二十日の衆議院経済産業委員会の附帯決議において「プルトニウムの需給バランスに関して、「利用目的のないプルトニウムは持たない」との原則を堅持するとともに、政府は原子力事業者に対して、この原則を認識したうえで再処理事業を実施するよう指導し、仮にこの方針に反する再処理等事業の実施中期計画を認可法人が策定した場合には、経済産業大臣はこれを認可しないものとすること」及び「認可法人が策定する再処理等事業の実施中期計画を経済産業大臣が認可する際には、原子力の平和利用やプルトニウムの需給バランス確保の観点から、原子力委員会の意見を聴くものとし、その意見を十分に斟酌して認可の適否を判断するものとすること」とされ、平成二十八年五月十日の参議院経済産業委員会の附帯決議において「プルトニウムの需給バランスに関して、「利用目的のないプルトニウムは持たない」との原則を堅持するとともに、原子力事業者に対して、この原則を認識した上で再処理を実施するよう指導すること。使用済燃料再処理機構が策定する再処理等事業の実施中期計画を認可する際には、この原則に反する実施中期計画は認可しないものとするとともに、原子力の平和利用やプルトニウムの需給バランス確保の観点から、原子力委員会の意見を聴き、その意見を十分に斟酌して認可の適否を判断すること」とされている趣旨を尊重し、適切に対処していく考えである。

二について

 御指摘のような調査研究等が実施されていることは、政府として承知しているが、「エネルギー基本計画」(平成二十六年四月十一日閣議決定)において、「我が国は、資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減等の観点から、使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進を基本的方針としている」としており、この方針の下、「利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を引き続き堅持」し、「プルトニウムの回収と利用のバランスを十分に考慮しつつ、プルサーマルの推進等によりプルトニウムの適切な管理と利用を行う」こととしている。

三について

 使用済MOX燃料については、日本原燃株式会社の再処理事業所再処理施設(以下「六ヶ所再処理工場」という。)で再処理を行うことは予定されていない。使用済MOX燃料の扱いについては、当面、各電気事業者が関係法令に従って安全に保管することとなる。保管後の使用済MOX燃料の扱いについては、六ヶ所再処理工場の運転実績や、プルサーマルの導入状況、使用済MOX燃料の発生状況とその保管状況、再処理技術に関する研究開発の進捗状況等を踏まえながら、検討していくべき課題と認識している。

五について

 「我が国の再処理工場におけるミサイル攻撃」についてのお尋ねについては、仮定の質問であり、お答えすることは差し控えたいが、一般論として申し上げれば、弾道ミサイルが発射された場合の対応については、国民の生命・財産を守るため、弾道ミサイル発射に関する兆候を早期に察知し、多層的な防護態勢により、機動的かつ持続的に対応するとともに、万が一被害が発生するおそれがある場合には、被害を防止、軽減するための必要な措置を講ずる所存である。
 また、お尋ねの「米国など他国の再処理工場におけるミサイル攻撃対策」については、政府として承知していない。

六について

 我が国は、戦後一貫して日本国憲法の下で平和国家としての道を歩み、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、非核三原則を守るとの基本方針を堅持してきた。政府としては、こうした我が国の平和国家としての歩みをより確固たるものにするとともに、国際協調主義に基づく積極的平和主義の下、様々な外交的手段を用いつつ、国際社会の平和と安定及び繁栄の実現に一層積極的な役割を果たし、我が国にとって望ましい国際秩序や安全保障環境を実現していく。さらに、防衛力の適切な整備とともに、日米安全保障体制の下での米軍の前方展開を維持し、我が国の外交の基軸たる日米同盟の抑止力を不断に強化していく。こうした取組を通じて、国民の命と平和な暮らしを守り抜いていく。