質問主意書

第193回国会(常会)

答弁書


答弁書第九九号

内閣参質一九三第九九号
  平成二十九年五月十六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員川田龍平君提出環境基本法の観点に立脚した六ヶ所再処理工場の在り方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出環境基本法の観点に立脚した六ヶ所再処理工場の在り方に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「何%が有機物のトリチウム(有機トリチウム)として固定されるのか」については、生物種、摂取形態等により異なるものであることから、一概にお答えすることは困難である。また、お尋ねの「生物や人体への有害性」については、摂取量、摂取形態等により異なるものであることから、一概にお答えすることは困難である。

二について

 先の答弁書(平成二十七年三月十日内閣参質一八九第五三号)三から五まで及び七についてでお答えしたとおり、再処理設備及びその附属施設(以下「再処理施設」という。)から放出される放射性物質については、国際放射線防護委員会の勧告を踏まえ、再処理施設の周辺監視区域外における一般公衆の被ばく線量が年間一ミリシーベルト以下となるように放射能濃度等の限度を定めており、その上で、施設からの放出形態や核種の種類に応じた規制を行っているところである。

三について

 御指摘の「人の健康を保護し、生活環境を保全する上で維持されることが望ましい大気、水質、土壌などに係る環境上の条件を定めた基準」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国際放射線防護委員会の勧告は、平常時における一般公衆の被ばく線量の管理について、放射線の発生源を管理することによって行うことを求めるものであり、環境基準(環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項に規定する基準をいう。)に当たるような基準を放射性物質について設けることを求めるものではないと理解している。我が国においては、例えば、再処理施設から放出される放射性物質については、同委員会の千九百九十年勧告の百九十一項等において示された考え方を踏まえ、再処理施設の周辺監視区域外における一般公衆の被ばく線量が年間一ミリシーベルト以下となるように放射能濃度等の限度を定めているところである。

四について

 先の答弁書(平成二十七年五月十二日内閣参質一八九第一二一号)三の4についてでお答えしたとおり、環境基本法第二十条は、環境政策の重要な手法として広く行われ、重要性の認識も定着している環境影響評価について、これを推進することを国に求める規定であり、個別具体の措置については、同条の規定の趣旨も踏まえて環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)等が定められているところであるが、日本原燃株式会社の再処理事業所に設置されている再処理施設に係る工事の事業は、同法の対象事業ではない。

五及び六について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、日本原燃株式会社が行う再処理の事業は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)等に基づく規制の下で行われるものであり、同法第四十六条の七第二項の規定による指定の取消し等を行うべき事由は確認されていないことから、「原燃は環境基本法第八条に違反する行為をしている」等の御指摘は当たらないと考えている。
 なお、クリプトン八十五の回収・固定化技術については、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構からは、現時点において具体的な実用化の見通しはないと聞いている。