質問主意書

第193回国会(常会)

答弁書


答弁書第九八号

内閣参質一九三第九八号
  平成二十九年五月十六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員小西洋之君提出米国の空母カール・ビンソン打撃群の派遣と国際連合憲章の関係等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小西洋之君提出米国の空母カール・ビンソン打撃群の派遣と国際連合憲章の関係等に関する質問に対する答弁書

一から三までについて

 御指摘の米国政府要人の発言の逐一について政府としてお答えすることは差し控えたい。いずれにせよ、国際連合憲章(昭和三十一年条約第二十六号)第二条4により禁止される「武力による威嚇」とは、一般に、現実にはまだ武力を行使しないが、自国の主張、要求を入れなければ国際法上違法な武力行使を行うとの意思、態度を示すことにより、相手国を威嚇することであると考えている。日米両国は、日米安全保障体制の円滑な運用を確保する上で様々な機会を通じて緊密な連携を確認するとともに、北朝鮮をめぐる情勢についても政策のすり合わせを行っており、我が国として、米国が違法な武力行使を行う意思、態度を示しているとは承知しておらず、御指摘の米空母カール・ヴィンソンの派遣並びに本年四月二十三日以降に行われた戦術技量の向上及び連携強化を目的とする自衛隊と米空母カール・ヴィンソンとの共同訓練が国際法に違反する「武力による威嚇」に当たるとは考えていない。

四及び五について

 御指摘の「国連憲章に違反する行動を行っている外国の軍隊」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、自衛隊が活動をするに当たって、国際法上違法な行為を行う他国軍隊に対する自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第九十五条の二第一項の警護を行わないことは当然であり、また、当該他国軍隊と共同訓練を実施することもない。

六について

 「米国が空母カール・ビンソン打撃群等を用いて行っている北朝鮮に対する武力による威嚇」の意味するところが必ずしも明らかではないが、我が国としては、関係国と緊密に連携しながら、北朝鮮に対し、更なる核実験及び弾道ミサイルの発射を自制し、国際連合安全保障理事会決議を即時かつ完全に履行し、核及び弾道ミサイル関連計画を放棄するよう、強く求めていく。