質問主意書

第193回国会(常会)

答弁書


答弁書第八一号

内閣参質一九三第八一号
  平成二十九年四月二十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員川田龍平君提出六ヶ所再処理工場におけるシビアアクシデント防止等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出六ヶ所再処理工場におけるシビアアクシデント防止等に関する質問に対する答弁書

一について

 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)及び同法の規定に基づく原子力規制委員会規則等に定める基準(以下「新規制基準」という。)においては、再処理設備及びその附属施設(以下「再処理施設」という。)には、使用済燃料貯蔵槽内の使用済燃料を冷却するために必要な設備を設けること等を求めているが、新規制基準に係る適合性審査においては、お尋ねの「非常時における燃料貯蔵プールからの使用済み核燃料の移送について、厳密にどこのプールに何体収納できるのか」について示すことは必ずしも求めておらず、政府として把握しているものではない。

二について

 日本原燃株式会社からは、同社の再処理事業所に設置されている再処理施設(以下「六ヶ所再処理施設」という。)における高レベル放射性液体廃棄物(以下「高レベル廃液」という。)に含まれているセシウム百三十七の放射能量の推定値は、平成二十七年三月四日時点において約五百二十ペタベクレルであったと聞いているが、高レベル廃液に含まれているストロンチウム九十並びに使用済燃料に含まれているストロンチウム九十及びセシウム百三十七の放射能量は、把握していないと聞いている。
 また、「原子力安全に関するIAEA閣僚会議に対する日本国政府の報告書―東京電力福島原子力発電所の事故について―」(平成二十三年六月七日原子力災害対策本部決定)においては、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故により大気中に放出された放射性物質の放射能量が最も多いとされる事故発生後約四日間に係る解析の結果等を取りまとめており、その中において、同発電所の第一号機から第三号機までの各号機から放出されたセシウム百三十七の放射能量の合計を一万五千テラベクレルと推定している。
 しかしながら、これらの推定の前提や方法は大きく異なるものであり、お尋ねについて単純に比較することは合理的でないと考えている。

三について

 御指摘の「二○一六年十一月二十五日河北新報・毎日新聞、十二月二十八日福島民友、二○一七年一月三十日毎日新聞」の報道が具体的にどの報道を指すのか必ずしも明らかではないが、平成二十八年十一月二十六日に河北新報に掲載された記事、同日に毎日新聞に掲載された記事及び同年十二月二十九日に福島民友に掲載された記事の内容については、同年十一月二十五日に開催された原子力災害事前対策等に関する検討チーム及び同年十二月二十八日に開催された原子力規制委員会において、六ヶ所再処理施設に係る原子力災害対策重点区域(以下「重点区域」という。)の範囲について当該六ヶ所再処理施設からおおむね五キロメートルを目安とすることについて議論したことは事実であるが、これらの記事にはこのような事実にわたる部分のほか、報道した者の見解にわたる部分も含まれていると考えられることから、政府として、これらの記事についてコメントすることは差し控えたい。なお、これらの記事に対する抗議は行っていない。

四について

 御指摘の「シビアアクシデントのシミュレーション」の意味するところが必ずしも明らかではないが、再処理施設に係る重点区域の範囲の目安を検討するに当たり、事故が発生した場合の放射性物質の大気拡散のシミュレーションを実施してはいないものの、原子力災害対策指針(平成二十四年十月三十一日原子力規制委員会決定)において、重点区域については、「各原子力施設に内在する危険性及び事故発生時の潜在的な影響の度合いを考慮しつつ原子力施設ごとに設定することを基本とする」とされており、六ヶ所再処理施設に係る重点区域の範囲の目安については、再処理施設の特性を踏まえ、「日本原燃株式会社再処理事業所に設置されている再処理施設に係る原子力災害対策重点区域の範囲は当該再処理施設から概ね五kmを目安とし、当該原子力災害対策重点区域の全てをUPZとする」とされているところである。

五及び六について

 御指摘の「深層防護」の意味するところが必ずしも明らかではないが、先の答弁書(平成二十七年三月十日内閣参質一八九第五四号)一の6及び7についてでお答えしたとおり、再処理施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(平成二十五年原子力規制委員会規則第二十七号)においては、重大事故が発生した場合における再処理施設を設置する工場又は事業所外への放射性物質及び放射線の放出を抑制するために必要な設備を設けることを求めており、また、同規則においては、重大事故の発生及び拡大を防止するための設備が有効に機能するかを確認するに当たっては、重大事故が単独で、同時に又は連鎖して発生することを想定して評価することを求めている。

七から十一までについて

 お尋ねについては、原子力規制委員会において、現在、新規制基準に係る適合性審査を行っていることから、現時点でお答えすることは差し控えたい。