質問主意書

第193回国会(常会)

答弁書


答弁書第五四号

内閣参質一九三第五四号
  平成二十九年三月二十八日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員糸数慶子君提出在沖米軍機の夜間訓練飛行に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員糸数慶子君提出在沖米軍機の夜間訓練飛行に関する質問に対する答弁書

一について

 平成二十九年三月八日に行われた報道関係者との意見交換会におけるニコルソン在沖縄米軍四軍調整官の発言については承知しているが、個別の発言について、政府として見解を述べることは差し控えたい。いずれにせよ、航空機による騒音は、周辺住民にとり深刻な問題であり、飛行場周辺の騒音軽減は重要な課題の一つであることから、今後とも米軍に対し、航空機の運用に当たり、周辺住民に与える影響を最小限にとどめるよう働きかけていく考えである。

二について

 お尋ねについては、米軍において判断されるものであるが、当該判断が「「部隊司令官」に完全に委ねられている」かについては、米軍の運用に関することであり、政府として承知していない。
 なお、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)第二十五条1の規定に基づき設置された合同委員会(以下「日米合同委員会」という。)における平成八年三月二十八日の嘉手納飛行場及び普天間飛行場における航空機騒音規制措置に関する合意(以下「航空機騒音規制措置に関する合意」という。)により、「夜間訓練飛行は、在日米軍に与えられた任務を達成し、又は飛行要員の練度を維持するために必要な最小限に制限される。部隊司令官は、できる限り早く夜間の飛行を終了させるよう最大限の努力を払う」とされている。
 また、米軍は全く自由に訓練等を行ってよいわけではなく、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきものであることはいうまでもなく、政府としては、我が国における米軍の活動について、周辺住民に与える影響等を踏まえつつ、必要な場合には、協議を行う等、適切に対応していく。

三について

 お尋ねの「司令官の責任が十分に果たされている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、累次の機会に、航空機騒音規制措置に関する合意を遵守し、周辺住民に与える影響を最小限にとどめるよう米軍に申入れを行ってきている。米軍は、航空機による活動をするに当たっては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号)の目的の達成を図りつつ、周辺住民に対する騒音の影響をできるだけ軽減するよう最大限努力しているものと承知しており、嘉手納飛行場及び普天間飛行場における航空機の運用については、航空機騒音規制措置に関する合意に従って行われていると認識している。

四について

 お尋ねについては、平成二十八年十二月にキャンプ・ハンセン付近の住宅地近傍の上空で垂直離着陸機MV二二オスプレイ(以下「MV二二」という。)がつり下げ飛行をしており、政府としては、周辺住民に不安を与える状況となっていたものと認識している。
 また、政府としては、米軍が、航空機の運用に当たり、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払うのは当然であると考えており、米軍に対し、住宅地上空の飛行を避けるなど、周辺住民に与える影響を最小限にとどめるよう申し入れたところであり、引き続き、適切に対応してまいりたい。

五について

 沖縄県内における米軍航空機の夜間飛行訓練については、日米合同委員会において、飛行時間の規制等を含む航空機騒音規制措置に関する合意がなされており、嘉手納飛行場及び普天間飛行場における航空機の運用については、航空機騒音規制措置に関する合意に従って行われていると認識している。政府としては、引き続き、米軍に対し、航空機騒音規制措置に関する合意の遵守等を通じて、周辺住民に与える影響を最小限にとどめるよう働きかけていく考えである。
 また、これまでも、嘉手納飛行場に配備されている航空機の訓練移転や普天間飛行場に配備されているMV二二の沖縄県外における訓練等の実施に取り組んできたところであるが、平成二十八年九月一日には、沖縄の更なる負担軽減のため、普天間飛行場に配備されているMV二二等が参加する訓練を沖縄県外に移転することを日米合同委員会で合意したところである。今後とも、沖縄の負担軽減のため、政府としてできることは全て行うとの姿勢で取り組んでいく考えである。

六について

 御指摘の「悪影響や危険」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、防衛施設周辺地域における生活環境等に係る障害の防止又は軽減等のため、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律(昭和四十九年法律第百一号)等に基づき住宅の防音工事の助成、民生安定施設の助成等を実施してきているところであり、今後とも、こうした施策を着実に実施してまいりたい。
 また、政府としては、累次の機会に、米側に対し、米軍の運用に際しては、周辺住民への騒音面や安全面における影響に最大限の配慮を行うよう申し入れてきており、今後とも、あらゆる機会に、米側に対して申し入れてまいりたい。