質問主意書

第193回国会(常会)

質問主意書


質問第一三七号

菅内閣官房長官の「全く問題ない」、「批判は当たらない」などの答弁に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年六月十四日

山本 太郎   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   菅内閣官房長官の「全く問題ない」、「批判は当たらない」などの答弁に関する質問主意書

 内閣官房長官在職期間歴代一位である菅内閣官房長官は、第二次安倍内閣発足時に内閣官房長官に就任して以来、定例記者会見等において、ある事案に関する政府の立場や認識について、あるいは行政に対する批判や指摘について記者から説明を求められた場合に、「全く問題ない」、「批判は当たらない」あるいは「指摘は当たらない」との言葉を多用する傾向にある。菅内閣官房長官のこのような言葉を用いた答弁に対しては、平成二十九年六月三日付の東京新聞でも取り上げられたように、内閣官房長官として「国民の理解を得ようという思いが感じられない。」、「説明責任の放棄と見なされても仕方がない。」、さらに「異論のシャットアウトばかり。」といった国民からの批判の声(以下「国民の批判の声」という。)も上がっている。一般的に、内閣官房長官は記者会見等において、我が国政府の取り扱う重要事項や、様々な事態に対する政府としての公式見解等を発表し、これらを国民に対して分かりやすく説明する立場にある「政府報道官」あるいは「スポークスマン」と解されているところ、内閣官房長官在職期間歴代一位である菅内閣官房長官においては、説明責任の放棄と見なされたり異論をシャットアウトしたりするような言葉を用いることなく、より一層丁寧な答弁が求められると考える。以上を踏まえて、菅内閣官房長官の「全く問題ない」、「批判は当たらない」あるいは「指摘は当たらない」といった言葉を用いた答弁に関して、安倍内閣としていかなる認識を有しているのかを確認すべく、以下質問する。なお、答弁は、各質問項目に対して個別に一問一答で示されたい。

一 一般的に、内閣官房長官による定例記者会見(原則月曜日から金曜日、午前と午後の二回)はいかなる目的で行われるものか、安倍内閣としての認識を明確かつ詳らかに示されたい。加えて、その目的は安倍内閣における内閣官房長官記者会見においても変わることなく同じか、明確に示されたい。

二 菅内閣官房長官は、その定例記者会見等において、ある事案に関する政府の立場や認識について、あるいは行政に対する批判や指摘について記者から説明を求められた場合に、「全く問題ない」、「批判は当たらない」あるいは「指摘は当たらない」との言葉を、歴代の内閣官房長官と比較して、多用もしくは頻用しているとの認識を持っているか、明確に示されたい。

三 菅内閣官房長官の「全く問題ない」、「批判は当たらない」あるいは「指摘は当たらない」との言葉を用いた答弁に対して、国民の批判の声が存在していることを安倍内閣として把握しているか、明確に示されたい。加えて、国民の批判の声が存在していることを把握している場合、安倍内閣として国民の批判の声に対していかなる見解を持っているのか、明確に示されたい。

四 一般的に、内閣官房長官記者会見において内閣官房長官が行う発言は、そのすべてが政府としての公式見解であるとの理解でよいか、安倍内閣の認識を明確に示されたい。

五 前記四に関して、安倍内閣における内閣官房長官記者会見において菅氏が行う発言は、そのすべてが政府としての公式見解であるとの理解でよいか、安倍内閣の認識を明確に示されたい。

六 前記五に関して、安倍内閣における内閣官房長官記者会見において菅氏が行う発言のすべてが政府としての公式見解であるとの理解でよいとする場合、当該記者会見における菅氏の発言の中には、菅氏の内閣官房長官としてではない一個人としての意見や感想あるいは認識等は一切含まれることはない、との理解でよいか、安倍内閣の認識を明確に示されたい。

七 菅氏が過去の内閣官房長官記者会見において、記者からの質問に対して行った「全く問題ない」との言葉を用いた答弁は、そのすべてが政府としての公式見解であり、これらの答弁には菅氏の内閣官房長官としてではない一個人としての意見や感想あるいは認識等は一切含まれていないとの理解でよいか、安倍内閣の認識を明確に示されたい。

八 菅氏が過去の内閣官房長官記者会見において、記者からの質問に対して行った「批判は当たらない」あるいは「指摘は当たらない」との言葉を用いた答弁は、そのすべてが政府としての公式見解であり、これらの答弁には菅氏の内閣官房長官としてではない一個人としての意見や感想あるいは認識等は一切含まれていないとの理解でよいか、安倍内閣の認識を明確に示されたい。

九 一般的に、「問題ない」との言葉は、「重要でない、取り立てて検討・解決する必要がない、検討すべき事案がない」といった意味合いで用いられると解されるが、菅氏が内閣官房長官記者会見において「全く問題ない」との言葉を用いる際も、これらと同様の意味合いで用いているのか、あるいはこれらと異なる意味合いで用いる場合もあるのか、安倍内閣としての認識を明確に示されたい。異なる意味合いで用いる場合もあるとする場合、いかなる意味合いで用いるのか、具体的かつ明確に示されたい。

十 前記九に関して、菅氏が内閣官房長官記者会見において「問題ない」との言葉を用いる場合、それが「重要でない、取り立てて検討・解決する必要がない、検討すべき事案がない」と同様の意味合いで用いるにせよ、あるいはこれらと異なる意味合いで用いるにせよ、「問題ない」との言葉はすべて政府あるいは菅氏の主観的な意見や感想あるいは認識等を示すものであり、また、そもそもある事案に関して「問題ない」のか否かを判断するのはあくまで国民なのであるから、菅氏の内閣官房長官記者会見における「全く問題ない」との答弁は、国民に対して丁寧な説明をしていることにはならず、内閣官房長官が行う答弁として極めて不適切かつ不誠実であると考えるが、安倍内閣の認識を明確に示されたい。

十一 前記八に関して、菅氏が内閣官房長官記者会見において「批判は当たらない」あるいは「指摘は当たらない」との言葉を用いる場合、これらをいかなる意味合いで用いるにせよ、これらはすべて政府あるいは菅氏の主観的な意見や感想あるいは認識等を示すものであり、また、そもそも行政に対して「批判」あるいは「指摘」を行うのはあくまで国民なのであるから、菅氏の内閣官房長官記者会見における「批判は当たらない」あるいは「指摘は当たらない」との言葉を用いた答弁によって批判や指摘を一方的に否定することは、国民に対して丁寧な説明をしていることにはならず、内閣官房長官が行う答弁として極めて不適切かつ不誠実であると考えるが、安倍内閣の認識を明確に示されたい。

十二 国民の批判の声及び前記一から十一までを踏まえても、菅内閣官房長官は、その定例記者会見等において、ある事案に関する政府の立場や認識について、あるいは行政に対する批判や指摘について記者から説明を求められた場合に、「全く問題ない」、「批判は当たらない」あるいは「指摘は当たらない」との言葉を、今後も国民に対して説明する際に用いることはあるのか、安倍内閣としての認識を明確に示されたい。加えて、「全く問題ない」、「批判は当たらない」あるいは「指摘は当たらない」との言葉を、今後も菅内閣官房長官が定例記者会見等において国民に対して説明する際に用いることは「全く問題ない」との認識を有しているか、安倍内閣の認識をその理由とともに明確に示されたい。加えて、菅内閣官房長官のこれらの言葉を用いた答弁に対する国民の批判の声については、その「批判は当たらない」あるいはその「指摘は当たらない」との認識を有しているか、安倍内閣としての認識をその理由とともに明確に示されたい。

  右質問する。