質問主意書

第193回国会(常会)

質問主意書


質問第一一三号

我が国の非自発的入院に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年五月十七日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   我が国の非自発的入院に関する質問主意書

一 我が国の精神医療については国連からたびたび改善を求められており、自由権規約委員会からは一回、拷問禁止委員会からは二回指摘を受けている。
 これらの指摘の中では、我が国の非自発的入院の要件が極めて広範であることや、強制入院率がOECD諸国平均の四倍にも達しており、強制入院が余りにも多いことが批判されている。
 これらの国連からの改善を求める指摘について、厚生労働省はどのような見解を持ち、どのように対処する方針か、明らかにされたい。

二 前記一の国連からの指摘の影響もあってか、平成二十五年の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律改正時の衆議院厚生労働委員会及び参議院厚生労働委員会の附帯決議では、非自発的入院の減少が志向されていた。
 今国会に政府が提出した「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案」(第百九十三回国会閣法第三四号)による改正内容は、非自発的入院の減少につながると厚生労働省は認識しているのか。

三 措置入院については、入院中の患者数は減少傾向にあるが、患者の延べ人数は増加傾向にある。厚生労働省によれば、平成九年度に措置入院となった患者数は延べ三千四百九十八人であったが、平成二十七年度は七千百六人へと倍増した。これに対し、年度末時点での措置入院患者の数は、平成九年度の四千三百三十八人から平成二十七年度は千五百十九人に減っている。年度末時点で措置入院患者数が減少している背景には、短期間で退院させて地域でケアするという国の精神医療の方針があると言われており、このこと自体は好ましい方向だと受け止めている。
 年度末時点の措置入院患者が減少しているにもかかわらず、措置入院患者の延べ人数は増加しているが、厚生労働省はこの事実をどのように認識し、原因をどのように分析しているのか。
 また、任意入院患者数は減少しているにもかかわらず、医療保護入院患者数は増加している理由をどのように認識しているのか。

  右質問する。