質問主意書

第193回国会(常会)

質問主意書


質問第一一二号

精神医療審査会の現状と課題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年五月十七日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   精神医療審査会の現状と課題に関する質問主意書

 精神医療審査会は、精神科病院に入院している精神障害者の処遇等について専門的かつ独立的に審査を行うための機関である。現在、都道府県知事は、医療保護入院の届出があったときは、その内容を精神医療審査会に通知し、入院の必要があるかどうかに関して審査を求めることとなっている。
 政府提出の「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案」(第百九十三回国会閣法第三四号)において、都道府県知事は、措置入院を行った場合に、その必要性について精神医療審査会の審査を求めなければならないとされている。
 以上を踏まえ、精神医療審査会について、以下の通り質問する。

一 厚生労働省の資料によれば、平成二十七年度に精神医療審査会が審査した医療保護入院の入院届十八万三千百六十八件のうち、「他の入院形態への移行が適当」とされたのは四件、「入院継続不要」とされたのは三件にすぎず、ほぼ全ての結果が「現在の入院形態が妥当」となっている。
 この結果について、厚生労働省はどのような見解を有しているのか。また、精神医療審査会による審査が形骸化しているのではないかとの懸念が持たれるが、精神医療審査会は、医療保護入院の必要性についてどのような審査を行っているのか。

二 精神医療審査会は、精神科病院に入院中の者又はその家族等から、退院請求又は処遇改善請求があったときに、当該請求に係る入院中の者について、その入院が必要であるかどうか、又はその処遇が適当であるかどうかについて、審査を行うこととなっている。
 厚生労働省の資料によれば、平成二十七年度に精神医療審査会が審査した処遇改善請求三百六十件のうち「入院又は処遇は不適当」とされたのは三十二件と、全体の八・九%にすぎない。
 精神医療審査会による審査の過程において、精神科病院に入院する者の意向が十分に反映されているのか、厚生労働省の見解を示されたい。また、退院請求又は処遇改善請求については、請求自体が少なすぎるのではないか、厚生労働省の見解を示されたい。

三 精神医療審査会の独立した権利擁護機関としての重要性に鑑み、患者の権利擁護の観点から、精神医療審査会やその事務局を担う精神保健福祉センターの機能強化が必要だと考えるが、厚生労働省の見解如何。

四 厚生労働省の資料によれば、精神医療審査会が退院請求等を受理してから審査結果を通知するまでにかかる全国平均の日数は、平成二十六年度で三十二・五日となっており、「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」の報告書においては、「審査の迅速化を図るため、各自治体における運営の実態を把握するとともに、平均処理日数の共有や好取組の紹介などの取組が必要」と指摘されている。
 精神障害者が適切な医療等を受けるためにも、迅速な審査が欠かせないと思うが、精神医療審査会における審査の迅速化を図るべきであるとの問題意識について、厚生労働省はどのように受け止め、今後対応しようと考えているのか。

  右質問する。