質問主意書

第193回国会(常会)

質問主意書


質問第九七号

米軍の戦闘作戦行動における在日米軍基地の使用同意等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年五月二日

小西 洋之   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   米軍の戦闘作戦行動における在日米軍基地の使用同意等に関する質問主意書

 日米安全保障条約第六条に基づき米国が我が国に事前協議を行う義務を有する米軍の戦闘作戦行動のための在日米軍基地の使用に関して、昭和四十七年六月七日の衆議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会において吉野政府委員が「(前略)要するに日本の基地から直接戦闘作戦行動を起こすということであるわけでございますから、最小限度その行動を起こす以前であれば足りるわけなんですが、しかしながら政治的に考えますと、日本の基地をその目的のために使うということは、日米両政府にとりまして非常に重大な決意が要るわけでございます。したがって、このようなことにつきまして、われわれに事前協議をかけてくる米国政府の態度といたしましては、作戦準備とかいうような技術的な行動の前に、そもそも日本の基地を使って作戦行動を行なってよろしいかどうかという、もっと政治的な判断が先行すべきだろうと思いますし、また、それについて日本側の同意を前もって求めておかなければいかぬということになろうと思いますから、これらの行動は技術的には併行して行なわれる可能性はございますが、しかしながら、われわれに対して相談をしかけてくる時期というものは、政治的な考慮から、したがって時間的にもそういう行動を起こす相当前からわがほうにいってくるのじゃないか、このようにわれわれは想像しておる次第でございます。」と答弁している。
 以下、これを踏まえ質問する。

一 安倍内閣として、昭和四十七年六月七日に吉野政府委員が示した「政治的に考えますと、日本の基地をその目的のために使うということは、日米両政府にとりまして非常に重大な決意が要る」、「したがって、このようなことにつきまして、われわれに事前協議をかけてくる米国政府の態度といたしましては、作戦準備とかいうような技術的な行動の前に、そもそも日本の基地を使って作戦行動を行なってよろしいかどうかという、もっと政治的な判断が先行すべきだろうと思いますし、また、それについて日本側の同意を前もって求めておかなければいかぬ」、「われわれに対して相談をしかけてくる時期というものは、政治的な考慮から、したがって時間的にもそういう行動を起こす相当前からわがほうにいってくるのじゃないか」との見解を政府の見解として維持しているか。

二 前記一に関し、昭和四十七年六月七日に吉野政府委員が示した見解は、現在の米国政府と共有されていると考えているか、政府の認識を示されたい。

三 前記一に関し、「政治的に考えますと、日本の基地をその目的のために使うということは、日米両政府にとりまして非常に重大な決意が要る」とあるところ、なぜ、米軍が在日米軍基地を戦闘作戦行動の目的のために使用することが日本政府において重大な決意を要する事項であるのか、安倍内閣の認識するところを示されたい。

四 一般論として、安倍内閣は、日米安全保障条約第六条に基づき米軍が戦闘作戦行動のために在日米軍基地を使用する場合は、当該作戦行動の相手国から日本が武力による攻撃を受ける危険が生じ得ると考えているのか、政府の認識を示されたい。

五 安倍総理は、平成二十七年五月二十六日の衆議院本会議において「安保条約を改定したときにも、戦争に巻き込まれるといった批判が噴出しましたが、そうした批判が全く的外れなものであったことは、既に歴史が、皆さん、証明しています。」と述べているところであるが、これは、日米安全保障条約第六条に基づき米軍が戦闘作戦行動のために在日米軍基地を使用する場合に当該作戦行動の相手国から日本が武力による攻撃を受ける危険が絶対に生じ得ないとの認識に基づくものであるのか、この安倍総理の答弁の趣旨について政府の認識を示されたい。

六 この度の米軍が空母カール・ビンソンを日本海近海に派遣する等の状況において、昭和四十七年六月七日の吉野政府委員の答弁に示されているところの在日米軍基地の使用に関する同意の要請が米国政府よりあるのか、また、それに対して日本政府は同意を行っているのか、現時点における事実関係を示されたい。

七 前記六に関し、米国の空軍総参謀長が沖縄の嘉手納基地に集結し整列させた戦闘機群等の写真をSNS上で明らかにするなど、米軍はこの度の北朝鮮を巡る情勢においていざという時は在日米軍基地をその戦闘作戦行動のために当然に使用できると考えているように解されるが、政府としてこうした米国の行為を慎むように米国政府に対し直ちに申入れを行うべきではないのか。

八 安倍内閣として、昭和四十七年六月七日に吉野政府委員が示した「そもそも日本の基地を使って作戦行動を行なってよろしいかどうかという、もっと政治的な判断が先行すべきだろうと思いますし、また、それについて日本側の同意を前もって求めておかなければいかぬ」との見解における日本政府の同意の要件としてどのようなものが必要であると考えているか。また、同じく吉野政府委員が示した「われわれに対して相談をしかけてくる時期というものは、政治的な考慮から、したがって時間的にもそういう行動を起こす相当前からわがほうにいってくるのじゃないか」との見解における米軍が戦闘作戦行動を起こす「相当前」の期間についてどのような要件が必要であると考えているか。

九 米国が戦闘作戦行動のために在日米軍基地を基地として使用するために義務として負う事前協議(昭和四十七年六月七日付の政府統一見解である「「戦闘作戦行動」について」において示されている協議をいう。)は我が国としてどのような要件に基づき行われる必要があると考えているか、前記八で答弁した要件との違いを示しつつ、政府の見解を示されたい。

十 前記九の事前協議における同意においては、米国政府に対し何らかの条件を付すことも可能であると考えているのか、政府としての見解を示されたい。

  右質問する。