質問主意書

第193回国会(常会)

質問主意書


質問第七四号

雇用保険法等の一部を改正する法律における職業紹介や求人等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年三月三十一日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   雇用保険法等の一部を改正する法律における職業紹介や求人等に関する質問主意書

 第百九十三回国会で成立した「雇用保険法等の一部を改正する法律」(以下「本法律」という。)の内、主に職業紹介や求人等に関する制度に関し、以下の通り質問する。

一 本法律による求人者への指導監督の強化は、いわゆるブラック求人や求人詐欺を抑止する効果が期待される。一方、求人が虚偽の内容であることを証明することが困難であるため、求人者が虚偽の労働条件を提示しても、当該求人者に対する罰則適用は難しいとの指摘もある。
 求人・募集情報の適正化を実効性あるものとするため、今後どのように制度運用面で指導監督を強化していくのか。具体的な方針を示されたい。

二 残業代があらかじめ固定給に含まれている固定残業代は、その内容が労働者側に適切に情報提供されておらず、就職後に労使間でトラブルになることが多い。固定残業代制であることを隠せないように、固定残業代に係る計算方法や固定残業代を除外した基本給の額等を事前に明示させることが重要であり、これについては、平成二十七年から順次施行されている青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)の場合と同様に、今後、指針が整備されると予想される。
 厚生労働省は固定残業代の実態を把握しているか。また、若者雇用促進法に基づく指針に固定残業代について規定されたことの効果をどのように分析しているか。

三 本法律により、初めて法律上に「募集情報等提供」が定義される。一方、募集情報等提供事業を行うに当たっては、届出等の手続が必要とされていないため、厚生労働省が募集情報等提供事業者の実態を把握することは困難であると懸念している。
 独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査では、全国で約四百の企業が募集情報等提供事業を実施していると推測されているが、今後、どのように募集情報等提供事業者の実態を把握していくのか。

四 募集情報等提供事業者に対しては、厚生労働大臣が公表する指針に規定される「必要な措置」を講ずる努力義務が課されるにとどまる。
 「必要な措置」として、募集情報が実際の労働条件と相違するおそれがある場合、募集主に状況を確認するとともに、相違していることが判明した場合には情報の変更を依頼するなど適切に対応すること等が規定される予定であるが、これを努力義務にとどめた理由は何か。
 また、募集情報の適正化に向けて、募集情報等提供事業者が顧客である募集主に対してどこまで踏み込んだ取組を実施することができるのか、前記の努力義務規定の実効性を高める必要があると考えるが、政府の見解如何。

  右質問する。