質問主意書

第193回国会(常会)

質問主意書


質問第六五号

日露「共同経済活動」における国際約束と国会との関係に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年三月三十日

大野 元裕   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   日露「共同経済活動」における国際約束と国会との関係に関する質問主意書

 本年三月十八日に日露外務次官級協議が、また同月二十日、日露外相会談及び外務・防衛閣僚会議が実施された。昨年の日露首脳会談において合意された共同経済活動(以下「本共同経済活動」という。)に関する国際約束と国会との関係について、政府の見解を以下の通り問う。

一 前記日露外相会談においては、前記日露外務次官級協議を踏まえ、本共同経済活動について、今後、優先して作業するプロジェクトの絞り込みや必要な法的基盤の検討も含めた議論が深められることとなった由である。本共同経済活動は前記日露首脳会談で具体化の進展が合意された八項目の協力プラン(以下「本協力プラン」という。)に基づくものと理解されるが、法的基盤の検討の結果、本協力プランが、その具体化に当たって法律事項の変更を必要とするものであれば、本協力プランは、一九七四年二月二十日の大平正芳外務大臣の衆議院外務委員会での答弁(いわゆる大平三原則)にある「法律事項を含む国際約束」と見なされ、憲法第七十三条第三号に定める国会承認条約となると考えられるところ、政府は本協力プランが「法律事項を含む国際約束」であるとして国会に対し承認を求めることとなるか。

二 本協力プランが、その具体化に当たって新たな予算措置を伴うものとなる場合、政府は本協力プランが前記「大平三原則」に示された「財政事項を含む国際約束」であるとして、「法律事項を含む国際約束」と同様に、国会に対し承認を求めることとなるか。

三 前記一並びに二において、本協力プランが憲法第七十三条第三号に定める国会承認条約に該当しないと考える場合、その理由を示されたい。

四 前記日露首脳会談のプレス向け声明においては、「調整された経済活動の分野に応じ、そのための国際約束の締結を含むその実施のための然るべき法的基盤の諸問題が検討される」とあるが、この「国際約束」は前記一並びに二に示した「法律事項を含む国際約束」又は「財政事項を含む国際約束」として、国会の承認を求めるものとなるか。

五 前記四の声明においては、「この声明及びこの声明に基づき達成される共同経済活動の調整に関するいかなる合意も、また共同経済活動の実施も、平和条約問題に関する日本国及びロシア連邦の立場を害するものではないことに立脚する」とあるが、「共同経済活動の調整に関するいかなる合意」も前記「大平三原則」にいう、「領土あるいは施政権の移転のごとく、立法権を含む国の主権全体に直接影響を及ぼすような国際約束」となることはないか。

六 本共同経済活動は、我が国の固有の領土たる北方領土及びその領海における我が国の主権を侵害せず、ロシア連邦の国内法の適用範囲とはならず、我が国にとっての排他的な警察権等の施政権を確保するものとなるか。

  右質問する。