質問主意書

第193回国会(常会)

質問主意書


質問第二九号

「テロ」及び「一般の方々」の定義とテロ等準備罪に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年二月十四日

山本 太郎   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   「テロ」及び「一般の方々」の定義とテロ等準備罪に関する質問主意書

 平成二十九年一月十六日、菅内閣官房長官は記者会見において、国際組織犯罪防止条約の国内担保法として安倍内閣が必要性を主張している、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案、いわゆる「テロ等準備罪法案」(以下「共謀罪法案」という。)に関する記者からの質問に対して、「犯罪の主体を限定するなど、一般の方々が対象となることはあり得ないことがより明確になるよう最終的な調整をしている。」旨述べた。また同月二十五日の参議院本会議(以下「代表質問」という。)における私の共謀罪法案に関する質疑に対し、安倍内閣総理大臣も、「犯罪の主体を一定の犯罪を犯すことを目的とする集団、すなわち、テロ組織を始めとする組織犯罪集団に限定し、(中略)一般の方々がその対象となることはあり得ないことがより明確になるよう検討を行っている」と答弁した。以上を踏まえて、以下質問する。

一 「テロ」とは「テロリズム」または「テロリスト」のことを略して称しているものと思われるが、安倍内閣における「テロ」の定義を具体的かつ明確に示されたい。

二 前記一の「テロ」の定義に基づき、ある個人または団体が「テロリスト」である、あるいは、ある個人または団体の行為が「テロリズム」であるとの認定をするのはいかなる機関であるのか、その機関を網羅的かつ明確に示されたい。

三 前記の菅官房長官の発言及び安倍総理の答弁にある「一般の方々」とは、いかなる人々のことを指すのか、安倍内閣における「一般の方々」の定義を具体的かつ明確に示されたい。

四 前記三の「一般の方々」の定義に基づき、ある個人または団体が「一般の方々」であるとの認定をするのはいかなる機関であるのか、その機関を網羅的かつ明確に示されたい。

五 菅官房長官の発言及び安倍総理の答弁のように「一般の方々が対象となることはあり得ない」とした共謀罪法案が成立した場合、その運用に当たって「一般の方々」を装った「テロリスト」を探し出して摘発すること、すなわち、前記三の定義に基づき前記四の機関が「一般の方々」であると認定した個人または団体の中から、前記一の「テロ」の定義に基づき前記二の機関が「テロリスト」であると認定した個人または団体を探し出して摘発することは可能か、安倍内閣の認識を明確に示されたい。摘発することが可能であるとする場合、その理由及びいかなる手段によって摘発するのかを具体的かつ明確に示されたい。

六 代表質問における私の「テロ等準備罪の「等」、この「等」とはどういう意味ですか。テロ以外にも適用される余地を残す理由を教えてください。」との質疑に対して、安倍総理から明確な答弁がなかった。「等」の示す行為及びテロ以外にも適用される余地を残す理由を具体的かつ明確に示されたい。

  右質問する。