質問主意書

第193回国会(常会)

質問主意書


質問第二二号

難民認定申請書の受理等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年二月三日

糸数 慶子   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   難民認定申請書の受理等に関する質問主意書

 私が第百九十二回国会に提出した我が国の難民認定申請及び迅速処理手続に関する質問主意書(第百九十二回国会質問第五八号)に対する答弁(内閣参質一九二第五八号。以下「答弁書」という。)の一の1の(2)及び(3)についてでは、「本邦にある外国人から、出入国管理及び難民認定法(中略)第六十一条の二第一項の申請があったときは、当該申請に係る申請書を必ず受理して審査している。」とのことであったが、「必ず受理」の意味するところが明らかではないため、さらに以下質問する。

一 難民認定申請書の提出は、収容されていない者については住所又は現在地を管轄する地方入国管理局等で行い、入国者収容所又は収容場に収容されている者については当該施設において入国警備官に対して行うという取り扱いがされ、難民認定事務取扱要領にもその旨の記載があると認識しているが、この地方入国管理局等、または入国警備官に対して申請書が提出された時点で、申請書を受理して審査を開始している、という理解でよいか。

二 答弁書の一の1の(4)についてでは、難民認定申請があった場合は申請書を必ず受理して審査をしているため、行政手続法第七条と同様の規定を出入国管理及び難民認定法に設ける等の必要はない旨の答弁をしている。つまり、難民認定申請書に形式的な不備がある場合には、行政手続法第七条の規定と同様に、受理をした上で補正を求めることとしており、不備を理由に受理自体を拒むことはしていない、という理解でよいか。

三 難民認定申請書の別記第七十四号様式の欄全てに漏れや誤りなく記入するよう求めることは、申請者の記憶、法律知識、語学力等が必ずしも十分ではないこと、日本との文化の違いによる概念の差がありうることに照らせば、およそ不可能を求めているように思われ、また難民認定事務処理の迅速化を妨げる要因にもなっていると思われる。難民認定申請書の補正については、難民認定申請に欠かせない部分について行えば足りるのか、難民認定申請と必ずしも関係がない家族構成や学歴、職歴等全ての欄を埋めなければならないのか、別記第七十四号様式の欄について補正を要する範囲について見解を述べられたい。

四 前記三のとおり、難民認定申請書の別記第七十四号様式は、記載すべき内容が詳細に及んでいる一方、条約難民の定義を理解していなければどのように記載すべきかわからない質問や難民認定申請とは関連性がない質問が含まれている。例えば、「もしあなたが本国に戻った場合に、迫害を受ける理由は次のどれですか」という質問に続けて、「人種」「宗教」「国籍」「特定の社会的集団の構成員であること」「政治的意見」「その他」の選択肢から選ばせる質問があるが、申請者が自身の受けている迫害の理由がどれかに該当するか判断できないこともあるし、そもそもどのような経験が「迫害」に当たるか分からないこともある。また、生活費用や親族への送金に関する質問もあるが、これらは難民性判断とは関連性がない。難民認定の希望者が間違いなく申請できるよう、同様式を改訂し、記載内容を身分確認事項中心にするか大幅に簡素化するべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。