質問主意書

第193回国会(常会)

質問主意書


質問第七号

政府の「拉致問題が最優先課題」とする姿勢に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年一月二十日

有田 芳生   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   政府の「拉致問題が最優先課題」とする姿勢に関する質問主意書

 安倍内閣は、これまで累次にわたり「拉致問題が最優先課題」とする姿勢を公言しています。たとえば安倍首相は平成二十七年四月三日に首相官邸で北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)及び北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)と面会した際、安倍政権は拉致問題を最重要課題、最優先課題として取り組んでいる旨述べています。政府の「拉致問題が最優先課題」とする姿勢に関して質問いたします。

一 政府が強調する「拉致問題が最優先課題」とは、拉致問題が何に比べて最優先ということなのですか。また、いかなる理由で最優先なのですか。その認識をお示しください。

二 「拉致問題が最優先課題」とは、いわゆるストックホルム合意に明記されている、「一九四五年前後に北朝鮮域内で死亡した日本人の遺骨及び墓地、残留日本人、いわゆる日本人配偶者、拉致被害者及び行方不明者を含む全ての日本人」の中で拉致被害者が最優先であるということですか。

三 私が、第百九十二回国会に提出した「安倍内閣の拉致問題に対する姿勢に関する質問主意書」(第百九十二回国会質問第一一号)に対する答弁(内閣参質一九二第一一号。以下「この答弁書」とする)の三についてでは、「政府としては、拉致問題をはじめとする日本人に関する全ての問題の解決に向け全力を尽くしている」と答えています。その一方で、「拉致問題が最優先課題」を累次にわたり公言しているのは、全力を尽くす度合いは拉致問題が最も高いということですか。

四 政府がこの答弁書において、「政府としては、拉致問題をはじめとする日本人に関する全ての問題の解決に向け全力を尽くしている」と答えているにもかかわらず「拉致問題が最優先課題」と累次にわたり公言して優先順位を付けていることは、法の下の平等を保障している日本国憲法の精神を侵害しているのではないですか。

五 政府のこの答弁書における内容からすれば、「拉致問題が最優先課題」ではなく、「ストックホルム合意の遵守が最優先課題」と公言すべきと考えますが、政府の見解をお示し下さい。

六 政府はこの答弁書の四についてでは、「北朝鮮との関係に関する政府の方針は、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、国交正常化を実現していくというものである」と答えています。この拉致、核、ミサイル問題の解決の中で最優先しているのは拉致問題だという位置づけで、政府は「拉致問題が最優先課題」と公言しているのですか。

  右質問する。