質問主意書

第192回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一二号

内閣参質一九二第一二号
  平成二十八年十一月四日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員有田芳生君提出国連の北朝鮮人権状況決議に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員有田芳生君提出国連の北朝鮮人権状況決議に関する質問に対する答弁書

一について

 平成二十八年三月二十三日(現地時間)に国際連合第三十一回人権理事会本会議において採択された北朝鮮人権状況決議は、北朝鮮における人権侵害に係る説明責任の問題に重点的に取り組む独立した専門家の指名に係る国際連合人権高等弁務官に対する要請が新たに記載されている等、北朝鮮における人権状況をめぐる最新の状況を反映している。政府としては、累次の北朝鮮人権状況決議が北朝鮮の人権状況の改善につながることを強く期待するとともに、国際社会とも協力して、北朝鮮に対し具体的な行動をとるよう引き続き強く求めていく考えである。

二について

 御指摘の北朝鮮における人権侵害に係る説明責任の問題に重点的に取り組む独立した専門家によるグループ(以下「専門家グループ」という。)については、政府としては、専門家グループの活動に最大限協力していく考えであり、専門家グループの取組が、北朝鮮の人権状況の改善に資することを期待している。

三について

 御指摘の「平成二十六年十一月以降の決議」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成二十六年十二月十八日(現地時間)以降に国際連合総会本会議及び国際連合人権理事会本会議において採択された北朝鮮人権状況決議は、同年二月に公表され、人道に対する犯罪に言及している北朝鮮における人権に関する国連調査委員会の報告書の内容に言及しているが、当該報告書の個々の文言が意味するところについて、政府としてお答えする立場にない。

四及び五について

 平成二十六年十二月十八日及び平成二十七年十二月十七日(いずれも現地時間)に国際連合総会本会議において採択された北朝鮮人権状況決議は、国際連合安全保障理事会に対し、適切な行動をとることを促している。政府としては、これらの決議のフォローアップに関し、関係国と効果的な方法を協議していく考えである。
 また、お尋ねの「決議の枠組みの中で解決を目指す」及び「拉致問題だけを切り離し、日朝間だけの問題として解決を図ろうとする」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、御指摘のいわゆる「ストックホルム合意」に基づき、日本人に関する全ての問題の解決を目指す考えである。

六について

 政府としては、北朝鮮における人権侵害について、今後とも、国際連合総会を含む様々な場を活用し、問題解決に向けた適切な啓発活動に取り組んでいく考えである。

七について

 御指摘の「北朝鮮から諸外国へ派遣されて厳しい労働条件で働かされている海外労働者の問題」については、平成二十七年九月八日(現地時間)に第七十回国際連合総会に提出された北朝鮮人権状況特別報告者の報告書においても指摘されていると承知しており、政府としては、関係国と効果的な方法を協議しつつ、当該問題を含む北朝鮮による人権侵害問題への取組を推進してまいりたい。