質問主意書

第192回国会(臨時会)

質問主意書


質問第八三号

安倍政権による日ソ共同宣言の解釈等に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年十二月十四日

小西 洋之   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   安倍政権による日ソ共同宣言の解釈等に関する再質問主意書

 昭和三十一年、我が国はソヴィエト社会主義共和国連邦(以下「ソ連」という。)との間で日本国とソ連との共同宣言(以下「日ソ共同宣言」という。)を締結し、日ソ間の国交を回復した。日ソ共同宣言第九項には、ソ連は「日本国の要望にこたえかつ日本国の利益を考慮して、歯舞群島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。ただし、これらの諸島は、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする。」と明記されている。
 前回質問主意書(第百九十二回国会質問第二二号)で、政府が繰り返し述べている「平和条約」とは、日ソ共同宣言第九項に記された「平和条約」のみを指すと理解してよいか問うたが、政府答弁書(内閣参質一九二第二二号)では、「お尋ねの「日ソ共同宣言第九項に記された「平和条約」のみを指す」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である」旨答弁し、質問に対し何ら答えておらず、このような不誠実な対応は大変遺憾であった。
 そこで、平成二十八年十二月八日の参議院外交防衛委員会において、私が「安倍政権も繰り返しおっしゃっている、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する、ここで言う平和条約は、日ソ共同宣言の第九項の平和条約、これのみを指すと考えてよろしいでしょうか。」と質問したところ、岸田外務大臣は、「この一九五六年の日ソ共同宣言に記されている平和条約、これは、我が国が今現在交渉している平和条約と同一であります。」と答弁し、日ソ共同宣言第九項に記された「平和条約」のみの締結を目指して交渉が進められていることが明らかになったところである。
 右を踏まえ、以下質問する。

一 日ソ共同宣言にいう「平和条約」には、北方四島の全ての島の日本国への領有権の帰属が明確に規定されるものでなければならないと理解しているが、政府の認識を示されたい。

二 平成二十八年九月二十三日付の読売新聞において、政府がロシアとの交渉で北方四島の帰属問題の解決を前提とせず、歯舞群島及び色丹島の二島引き渡しを最低条件とする方針に転換した旨の報道がなされた。読売新聞の報道の真否は別として、北方四島の日本への帰属を明確にしないままロシアとの間で平和条約を締結することは、日ソ共同宣言の内容と齟齬が生じることになると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

三 仮に、「北方四島の日本への領有権の帰属を明確にしないままロシアとの間で平和条約を締結すること」を内容として日本政府とロシア政府による北方四島の領有権の帰属問題に係る交渉が決着した場合、ロシアとの間で締結される「平和条約」と日ソ共同宣言にいう「平和条約」との整合性はどのように図られるのか、明確に説明されたい。

  右質問する。