質問主意書

第192回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六九号

「かかりつけ医」以外を受診した場合の定額負担に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年十二月十四日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   「かかりつけ医」以外を受診した場合の定額負担に関する質問主意書

 安倍政権は、平成二十七年に閣議決定した「骨太方針二〇一五」の中で「経済・財政再生計画」を定めた。同計画では、平成二十八年度から三十年度までの三年間を「集中改革期間」と位置付け、その間の社会保障関係費の伸びを計一・五兆円以内に抑制する方針が示されている。
 この方針に基づき、平成二十八年度においては、概算要求段階の社会保障関係費の自然増が約六千七百億円であったところ、千七百億円分を削減して伸びを五千億円以内に収めるという対応が採られた。平成二十八年度は診療報酬改定を行う年度であり、診療報酬の抑制により社会保障関係費の自然増に対応する財源を何とか捻出する形となったが、平成二十九年度には予定された大きな制度改正がないことから、集中改革期間における社会保障関係費の抑制方針を達成するためには、既存の社会保障関係経費を大きく削減せざるを得ず、そのしわ寄せが結果として国民生活に及ぶのではないかと懸念している。
 そこで、経済・財政再生計画に列記された社会保障制度、医療保険制度の見直しに関連する論議について、質問する。
 具体的には、本年十月四日の財政制度等審議会財政制度分科会において、財務省から提案された「かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入」について質問する。この提案は、同分科会に提出された財務省の資料によれば、一定の要件を満たす診療所等について、患者が「かかりつけ医」として指定した以外の医療機関を紹介状なしで受診する場合には定額を負担するものとされている。

一 民間のシンクタンクによる二〇〇八年の調査では、所得が低い層の約四割が、一年以内にお金が理由で医療を受けなかった経験があったという。
 このような現状があるにも関わらず、前記の定額負担を患者に課すことは、受診抑制につながり、病気の長期化や重篤化を招く恐れはないか、見解を明らかにされたい。

二 医療機関を受診した際に一定の定額負担を求める案については、これまでにも何度か提案されてきたものの、実現しなかった経緯がある。そのような案の実現に歯止めをかけている理由の一つとして、平成十四年の健康保険法等の一部を改正する法律の附則第二条第一項において、「医療保険各法に規定する被保険者及び被扶養者の医療に係る給付の割合については、将来にわたり百分の七十を維持するものとする」と規定されていることがあると承知しているが、同附則の規定が意味するところについて、改めて厚生労働省の見解を示されたい。

三 前記の定額負担を課す前提として、「かかりつけ医」の定義が明確であり、かつ国民の間で共通認識となっていることが必要と考える。現在、そのような共通認識が国民の間で成立していると政府は考えているのか、見解を明らかにされたい。

四 前記財務省の提案を導入した場合、「かかりつけ医」を持っていないときはどのような負担になるのか。また、例えば「かかりつけ医」が内科だった場合、眼科を受診したときにも定額を負担することになるのか。

  右質問する。