質問主意書

第192回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六八号

国民年金法等の一部を改正する法律案のうち、短時間労働者への被用者保険の適用拡大及び国民年金第一号被保険者の産前産後期間の保険料の免除に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年十二月十四日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   国民年金法等の一部を改正する法律案のうち、短時間労働者への被用者保険の適用拡大及び国民年金第一号被保険者の産前産後期間の保険料の免除に関する質問主意書

 「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案」(第百九十回国会閣法第五四号。以下「今回の法案」という。)には、短時間労働者への被用者保険の適用拡大の促進のため、五百人以下の企業も、労使の合意に基づいて、企業単位で短時間労働者への適用拡大を可能とすること、また、次世代育成支援のため、国民年金第一号被保険者の産前産後期間の保険料を免除し、免除期間は満額の基礎年金を保障すること等が規定されている。
 この「短時間労働者への被用者保険の適用拡大」や「国民年金第一号被保険者の産前産後期間の保険料の免除」について、以下の通り質問する。

一 短時間労働者への被用者保険の適用拡大に伴い、政府は事業主に対しキャリアアップ助成金による支援を行うとしている。必要な措置ではあるが、今回の法案によって新たに社会保険料の負担を負うこととなる中小企業の事業主の現状を考えると、こうした対策だけで十分か懸念が残る。
 キャリアアップ助成金による支援だけで、被用者保険の適用拡大に伴う支援は十分だと政府は考えているか。また、今回の法案と合わせてキャリアアップ助成金の支援額の増額やその他の支援について考えているか。政府の認識を問う。

二 今回の法案により、国・地方公共団体は規模にかかわらず被用者保険の適用対象となる。しかし、地方公共団体の職員の給与は地域によって差があるので、月収八・八万円の要件を満たしやすい地方公共団体とそうでない地方公共団体が出てきてしまうのではないか。地域によって労働条件が違うことにより、被用者保険の適用状況に格差が生まれてくる可能性について、政府はどのように考えているか。

三 今回の産前産後期間の保険料の免除のため、国民年金保険料を百円程度引き上げることとなっているが、そもそも百円という引上げ額は制度改正時の平成十六年度価格を基準としたものである。そのため、現在ではそのまま百円が引き上げられるわけではないと思われる。
 そこで、実際に保険料を引き上げる際には、いくら引き上げられることを想定しているのか示されたい。

四 厚生年金では、育児休業等期間中の保険料免除規定がある。その免除期間は育児休業等開始月から終了予定日の翌日の月の前月となっており、子が一歳になるまでの育児休業の場合、約一年間となる。
 今回の法案による免除期間は出産予定日の前月から四か月間となっているが、同じ出産・子育てをする立場でありながら、待遇に格差が生じている。次世代育成支援という観点からすれば、国民年金の免除期間も厚生年金と同様の期間を確保するべきではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。