質問主意書

第192回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六七号

国民年金法等の一部を改正する法律案のうち、GPIFの組織等の見直しに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年十二月十四日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   国民年金法等の一部を改正する法律案のうち、GPIFの組織等の見直しに関する質問主意書

 「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案」(第百九十回国会閣法第五四号。以下「今回の法案」という。)には、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の組織等に関し、合議制の経営委員会を設け、基本ポートフォリオ等の重要な方針に係る意思決定を行うとともに、執行機関の業務執行に対する監督を行うほか、年金積立金の運用に関し、リスク管理の方法の多様化など運用方法を追加する措置を講ずる、等の見直しの内容が含まれている。
 このGPIFの組織等の見直しについて、以下の通り質問する。

一 現在の運用委員会委員は、法律に基づき、経済・金融の有識者が任命されている。今回の法案により設立される経営委員会委員は、運用委員会委員と同様の経済・金融の有識者に加え、資産運用等の実務経験者も任命することが可能となるが、民間で活躍するファンドマネジャーなどの実務経験者の登用は、報酬額の関係もあり、困難も伴うと考えられる。そのため、現在の運用委員会委員が経営委員会委員に横滑りして任命される可能性もあると思われる。
 しかし、その場合、これまで理事長の諮問機関でしかなかった運用委員会の委員には、理事長以下執行部門を監督する機能を期待され、かつ、理事長との関係においては、経営委員会の構成員として同列で意思決定に参画することとなる。このことは、運用委員会委員から横滑りする経営委員会委員にとっては、これまでの関係上、経営委員会の場で理事長に配慮するなど、萎縮させる効果が働き、執行部を監督する機能を十分に果たし得ないのではないか。
 新たな経営委員会委員に現状の運用委員会委員を横滑りさせることになる可能性はどの程度あると認識しているか。

二 GPIFの理事長の年間報酬は、平成二十七年度で三千百三十万円と、他の独立行政法人と比較してもずば抜けて高い水準となっている。年金積立金の運用を安全かつ効率的に行うためには、民間から優秀かつ実績のある専門家を招聘することが不可欠であり、相応の報酬が必要となることには一定の理解ができる。しかし、GPIFの人件費を含めた業務運営経費は、国民の年金保険料による積立金の運用収益額が原資となっており、業績連動の特別手当があるとしても、平成二十八年度第一・四半期のように、運用損を出しても高額の報酬が維持されるのは、果たして適切であろうか。
 今回の法案により、GPIFの役員には、既に極めて高い報酬を得ている理事長のほか、経営委員会委員長と委員八名が加わることとなる。このように、ガバナンス改革に伴って人件費が増えることが見込まれる。
 以上の状況に鑑み、今回の法案にかかる人件費の増額見込みについて伺う。また、今回の法案を契機として、理事長及び理事の役員報酬基準の改定を行う予定はあるのか、併せて伺う。

三 人件費に関連して、経営委員会の委員長、委員の報酬は、理事長の報酬と同程度となるのか。経営委員会の委員長及び委員の報酬額設定の考え方について伺う。

四 平成二十八年十二月六日の参議院厚生労働委員会において、例年七月上旬に公表されている前年度の年金積立金の運用成績結果について、これまでより早い時期に公表するべきと私が質したところ、「十分な精査が行われていない誤った情報を開示するというリスクもある」との答弁であった。私がより早い公表を求めたのは、「作業に時間の掛かる詳細な運用パフォーマンスの分析」などではなく、運用資産の構成や、時価評価した場合の損益、すなわち運用成績結果等である。これを算出するのに、年度が明けてから四ヶ月近く掛けないとミスが出るほど、GPIFの運用状況精査体制は貧弱であるということか。

  右質問する。