質問主意書

第192回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六五号

学校外の施設を利用する不登校児童生徒等への災害共済給付制度の適用の可否に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年十二月十四日

山本 太郎   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   学校外の施設を利用する不登校児童生徒等への災害共済給付制度の適用の可否に関する質問主意書

 独立行政法人日本スポーツ振興センターは、学校の管理下での負傷、疾病等の災害に対し給付を行っている。同センターの調査によれば、学校の管理下での負傷、疾病等の災害の発生率は、制度に加入している小学生の五・七%、中学生の十・九%、高校生(全日制)の七・九%とのことである(平成二十七年度)。一方、文部科学省の「平成二十七年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(速報値)について」によれば、全国の不登校児童生徒のうち、小・中学生だけでも四万千十人が学校外の機関等において相談・指導等を受けている。
 前記の災害共済給付の状況を踏まえれば、学校外の機関等において相談・指導等を受けている不登校の児童生徒や子どもについても、一定数の事故等が発生している可能性があることから、学校外の公的施設及び民間施設への同センターの災害共済給付制度(以下「災害共済給付制度」という。)の適用の可否について、以下質問する。
 なお、本質問主意書においては、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、義務教育学校に在籍する者を「児童生徒」とし、「原籍校」は公私の団体が運営する学校外施設に通う児童生徒が在籍する前記学校とする。「子ども」とは、学校教育法第十七条第二項の示す義務教育段階を終え、かつ前記の学校に学籍のない十八歳未満の者とする。

一 不登校児童生徒や子どもが利用する学校外の公的施設及び民間施設への災害共済給付制度の適用の可否について

 災害共済給付制度の給付要件等は、独立行政法人日本スポーツ振興センター法第十五条第一項第七号等の各種関係法令で詳細に示されていると理解している。
 そこで、同号で「学校の管理下」が要件とされている災害共済給付制度の対象に、不登校児童生徒や子どもが通う次の①から⑦の施設は含まれるか。含まれる場合には、同施設に通う不登校児童生徒や子どもも災害共済給付制度の対象に含まれるのか、それぞれ見解を示されたい。
① 学校外の公設公営の教育支援センター。
② 学校外の公設民営の教育支援センター。
③ 教育支援センターではないが、公設公営の教育や福祉等の施設。
④ 教育支援センターではないが、公設民営のフリースクールや教育・福祉等の施設。
⑤ 民設民営のフリースクールや教育・福祉等の施設で、不登校児童生徒の活動を、学校が指導要録上出席扱いとすること及びその成果を評価に反映している施設。
⑥ 民設民営のフリースクールや教育・福祉等の施設で、学校が指導要録上出席扱いとすること及びその成果を評価として認めていない施設。
⑦ 独立行政法人日本スポーツ振興センター災害共済給付の基準に関する規程等に示される給付要件の一部を満たす施設(例えば給付対象ではない場合でも、学校給食等を当該施設で利用している等、災害共済給付制度が給付対象として認めている要件を一部分でも満たしている前記①から⑥の施設。なお、以下、①から⑦の施設を「公私の学校外施設」という。)。

二 災害共済給付制度の適用対象である、不登校児童生徒や子どもが利用する公私の学校外施設について

1 過去五年間における公私の学校外施設の災害共済給付制度への加入契約数、そこに通う不登校児童生徒や子どもの保護者等の加入契約数及び不登校児童生徒や子どもへの給付件数を前記一で示した①から⑦の施設ごとに示されたい。
2 前記二の1の統計自体がない場合は、今後統計の項目とするべきではないか、見解を示されたい。
3 災害共済給付制度への加入契約の条件に適合する各地の公私の学校外施設に災害共済給付制度を周知しているか示されたい。周知を行っている場合は、その周知方法と内容の概要を示されたい。
4 不登校児童生徒が相談・指導等を受けた場合に学校の指導要録上出席扱いになる民間のフリースクール等を運営している関係者に、災害共済給付制度の適用について確認したところ、「聞いたことがない」という者ばかりであった。民間団体が運営する学校外施設が災害共済給付制度の適用対象の場合、このような民間団体が運営する学校外施設に対して周知していないときは、いかなる理由により周知していないのか、見解を示されたい。
5 災害共済給付制度への加入契約が認められる公私の学校外施設がある場合、「学校の管理下」という文言は、公私の学校外施設を便宜上学校とみなしているのか、それとも、原籍校の管理下という意味であるのか、見解を示されたい。仮に原籍校の管理下という意味で、民間団体が運営する学校外施設が契約可能であるのであれば、民間団体との協働関係の現実に合うよう「学校の管理下」という言葉に代えて、新たに適切な文言や解釈を検討する考えはないか、見解を示されたい。
6 災害共済給付制度においては、公私の学校外施設が災害共済給付への加入契約を行っていなくても、当該公私の学校外施設における不登校児童生徒の活動は、当該不登校児童生徒の原籍校の設置者と保護者等との契約により、既に原則として給付対象範囲になっていると認識してよいか。給付対象範囲になっている場合、当該公私の学校外施設の災害共済給付制度の適用が認められない例外的施設や運営団体はあるのか、それぞれ示されたい。
7 前記二の6において給付対象範囲になっている場合、公私の学校外施設や保護者等に対して、公私の学校外施設での活動が災害共済給付制度の対象範囲であることの周知を文書等で示しているか。示していない場合は、その理由は何か、政府の見解を示されたい。

三 災害共済給付制度の適用対象となっていない、不登校児童生徒や子どもが利用する公私の学校外施設について

1 災害共済給付制度の対象となっていない理由を、前記一で示した①から⑦の施設ごとに示されたい。
2 災害共済給付制度の対象となっていない場合、公私の学校外施設への通学中に事故等にあった場合や、万が一、教員等の判断ミスで悪質な公私の学校外施設の紹介を受け、当該公私の学校外施設で不登校児童生徒や子どもが事故等にあった場合等において、災害共済給付制度と同様の公的保障制度はあるか。ある場合には、その概要を根拠法令も含めて示されたい。
3 前記三の2で質した災害共済給付制度と同様の公的な保障制度がない場合は、そのような制度を新たに作る必要性があると考えるが、見解を示されたい。

  右質問する。