質問主意書

第192回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五五号

ふるさと納税制度に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年十二月十三日

吉川 沙織   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   ふるさと納税制度に関する質問主意書

 ふるさと納税制度は、自分が選んだ自治体に寄附(ふるさと納税)を行った場合、寄附額のうち二千円を越える部分について、一定の上限はあるものの、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度であると承知している。
 自分のふるさとや頑張っている自治体を応援する趣旨で始まった「ふるさと納税」だが、「返礼品(特産品)の価格」や「寄附額に対する返礼品価格の割合」などに注目が集まり、納税者に「寄附感」ではなく「お得感や節税感」に基づく寄附を促すような一部自治体の取組が批判されたこともあった。
 こうした観点から、以下、質問する。

一 返礼品(特産品)送付への対応については、総務省から通知「地方税法、同法施行令、同法施行規則の改正等について」(平成二十七年四月一日付総税企第三九号)が発出されている。また、同省からの通知「地方税法、同法施行令、同法施行規則の改正等について」(平成二十八年四月一日付総税企第三七号)では、ふるさと納税の趣旨に反するような返礼品(特産品)が前記通知より具体的に示されている。本質問主意書に対する答弁書作成時点において、両通知に違反している返礼品(特産品)を送付している自治体はあるか。

二 前記一において違反している返礼品(特産品)を送付している自治体がある場合、違反返礼品の多い上位三自治体を都道府県、市区町村それぞれについて示されたい。

三 平成二十七年四月から、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」(以下「ワンストップ特例制度」という。)が導入された。ワンストップ特例制度の導入前後で、ふるさと納税を行った人数、寄附金額、税額控除額はどう変化したか示されたい。

四 ワンストップ特例制度を利用せず確定申告を行う場合には、寄附額は所得税(国税)と住民税(地方税)の双方から税額控除を受けるが、ワンストップ特例制度を利用すると、所得税からの税額控除がなくなり、住民税からのみ税額控除を受ける。つまり、ふるさと納税を行った納税者は、確定申告をするかワンストップ特例制度を利用するかで、国税からも税額控除を受けるか地方税からのみ税額控除を受けるかを選択できることになる。結果的に、納税者がふるさと納税の財源の一部を「国にも負担させるか、住んでいる自治体のみに負担させるか」を選択できるという理解でよいか。

五 納税者の判断により、税額控除を国税からも受けるか、地方税のみから受けるかを選択できる制度はワンストップ特例制度のほかにも存在するか。

六 ワンストップ特例制度を利用せず全員が確定申告をした場合の、所得税収への影響額を最新の統計を用いて示されたい。

七 ふるさと納税による増収が大きい上位三自治体及び減収が大きい上位三自治体を都道府県、市区町村それぞれについて最新の統計を用いて示されたい。

八 ふるさと納税による増収が大きい自治体にとっては、地域活性化等に充てる財源が増えるなどのメリットがあるが、ふるさと納税による減収が大きい自治体にとっては、住民への行政サービスに支障が出ることにはならないのか、政府の見解を問う。

  右質問する。