質問主意書

第192回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四二号

「駆け付け警護」に係る医療体制に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年十一月二十五日

山本 太郎   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   「駆け付け警護」に係る医療体制に関する質問主意書

 平成二十八年十一月四日に提出した「南スーダンで活動している自衛官の生命に関わる危機対応に関する質問主意書」(第百九十二回国会質問第二七号。以下「前回質問主意書」という。)に対する答弁書(内閣参質一九二第二七号。以下「前回答弁書」という。)を踏まえ、自衛隊の南スーダンでの国連平和維持活動(以下「南スーダンPKO」という。)における自衛官の生命に関わる危機対応ならびに現地での医療体制等に関する安倍内閣の認識を改めて確認すべく、以下質問する。

一 前回質問主意書七の1で、南スーダンPKOに派遣されている医官の人数、その医官の医師としての診療経験年数及び主たる専門領域について質したところ、前回答弁書七の1についてで、「UNMISS派遣部隊に所属する自衛隊員のうち医官は三名」、「それぞれの診療経験年数は、約二十三年、約十二年及び約三年」、「専門領域は、一名が外科系、二名が内科系」との答弁が示されたが、平成二十八年十一月十五日に行われた南スーダンPKOに係る新任務付与(以下「新任務付与」という。)以降、医官の人数、診療経験年数及び専門領域に変更もしくは追加が行われたのであれば、改めて網羅的かつ具体的にその詳細を示されたい。加えて、UNMISS派遣部隊に所属する医官(以下「当該医官」という。)に日本救急医学会が認定する救急科専門医の資格を有する者はいるのか示されたい。

二 前記一に関して、当該医官の中に、銃創に対する治療経験を有する者、熱傷面積が総体表面積の五十パーセントを超える重症熱傷に対する治療経験を有する者及び気道熱傷に対する治療経験を有する者はそれぞれ何名いるか、明確に示されたい。

三 前記一に関して、前回答弁書七の1についてで、「自衛隊の部隊等が法第三条第五号ラに掲げる業務を行う際には、必要に応じ、医師等の資格を保有する専門的な教育を受けた衛生要員が同行することとなる。」とあるが、この答弁に関して以下の項目ごとに政府の認識を個別具体的に説明されたい。

1 「医師等の資格」とは具体的にいかなる資格か、新任務付与以降UNMISS派遣部隊に所属する自衛隊員のうち医師以外の資格を保有する衛生要員(以下「当該衛生要員」という。)が保有する資格及び資格ごとの人数を網羅的かつ具体的に示されたい。
2 「必要に応じ」とあるが、南スーダンにおいて自衛隊の部隊等が国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(平成四年法律第七十九号。以下「PKO法」という。)第三条第五号ラに掲げる業務(以下「駆け付け警護」という。)を行う際に、当該医官が駆け付け警護が行われる現場(以下「駆け付け警護現場」という。)に同行しない場合もあり得るのか。あるいは、当該医官が駆け付け警護現場に同行しない場合でも、当該衛生要員はいかなるときも駆け付け警護現場に同行することになるのか、それとも当該医官及び当該衛生要員のいずれも駆け付け警護現場に同行しない場合があり得るのか。
3 当該衛生要員は、南スーダンPKOにおいても日本国内と同様に、保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)、救急救命士法(平成三年法律第三十六号)、医師法(昭和二十三年法律第二百一号)及びこれらの関連法規に基づいて活動するとの理解でよいか。
4 当該衛生要員の中に、銃創患者に対する救護経験を有する者、熱傷面積が総体表面積の五十パーセントを超える重症熱傷患者に対する救護経験を有する者及び気道熱傷患者に対する救護経験を有する者はそれぞれ何名いるか、明確に示されたい。

四 駆け付け警護現場において、PKO法第三条第五号ラに規定する活動関係者あるいは自衛官が救急処置を要する外傷等を受傷した場合に関して、以下の項目ごとに政府の認識を個別具体的に示されたい。

1 駆け付け警護現場における救護(以下「第一線救護」という。)に際して、当該駆け付け警護現場に当該医官が不在かつ当該医官からの直接指示も得られない場合、当該駆け付け警護現場に同行していた当該衛生要員の判断のもと救急処置として行うことが出来るものは、①気管内挿管、②軽易な創の縫合、③簡易結紮止血、④骨折に対する軽易な徒手整復、⑤鎮痛剤投与、⑥局所麻酔、⑦静脈路確保及び輸液のうちいずれか。
2 第一線救護による救急処置のみでは救命が困難な負傷者が生じた場合、いかなる手順、手段及び体制によって当該負傷者を、より高次の医療施設へと後送する対策を講じているのか、第一線救護、収容所治療、病院治療の治療レベル順に、網羅的かつ具体的に示されたい。加えて、南スーダンにおいて後送する収容所及び病院として具体的に施設を特定している場合は、その施設の所在地及び名称も併せて示されたい。

五 前回答弁書九についてで、「棺の搬入の有無等を明らかにすることは、無用の混乱を招くおそれがあり、お答えすることは差し控えたい。」との答弁があったが、当該答弁における「無用の混乱を招くおそれ」の意味するところが明らかでなく、むしろ当該答弁が国民の理解に混乱を招いているため、当該答弁を取り下げた上で、改めて前回質問主意書九に対して誠実かつ明確な答弁を求める。

  右質問する。