質問主意書

第192回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三二号

「年金機能強化法」改正案により平成二十九年八月から実施される年金受給資格期間短縮に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年十一月十五日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   「年金機能強化法」改正案により平成二十九年八月から実施される年金受給資格期間短縮に関する質問主意書

 政府提出の「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案」(閣法第六号)、いわゆる「年金機能強化法」改正案により平成二十九年八月から実施される年金受給資格期間短縮について、以下の通り質問する。

一 年金受給資格期間を短縮する際には、国民年金保険料の減免制度など、年金への長期加入を促進するための制度の利用者が減ることを抑止する方策や、国民年金保険料の納付率向上に係る施策をセットで講じていかなければならないと考える。しかるに、平成二十七年度の国民年金保険料の納付率(現年度分)は六十三・四%にとどまっている。特に、二十五から三十四歳の納付率は五十五%を割っている。この納付率の向上施策として、国民年金に関する教育の強化、特に社会に出る準備段階である高校等での教育が重要ではないかと考える。現在でも、各地の高校や大学等に対して年金セミナー等を実施しているとのことだが、さらに一歩進め、国民年金に関する教育が行われるよう高校等の学習指導要領に組み入れ、より深くより厚みのある教育を行うことを、文部科学省等とも協議の上で推進すべきと考えるが、厚生労働省当局の見解を明らかにされたい。

二 将来受給できる年金額は、保険料納付済期間等に比例する。十年の受給資格期間を満たしたとしても、十年間毎月保険料を全額納付し続けた場合に受給できる年金月額は約一万六千円にとどまることになる。また、「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案」(第百九十回国会閣法第五四号)が成立すると、この年金額もカットされることになる。政府は、老齢年金生活者支援給付金等により高齢者の生活を支えると説明しているが、老齢年金生活者支援給付金も保険料納付済期間等に比例するので、毎月全額を納付し続けなければ最大月額の五千円は受給することができない。
 生活に困窮する高齢者については、生活保護により最低限の生活を保障するという考えなのか。増加すると見込まれる低年金者の生活支援について、厚生労働省当局の見解を明らかにされたい。

三 七十歳まで国民年金に任意加入しても十年の受給資格期間を満たせない方は約二十六万人いると説明されている。この中には、合算対象期間(カラ期間)を保険料納付済期間等に合算すれば十年の受給資格期間を満たす方もいると考えられる。カラ期間はどのように算定し、確定するのか、明らかにされたい。
 また、政府は、保険料納付済期間等が十年未満の方にもお知らせのはがきを送付して、改めて国民年金への加入記録やカラ期間などの確認を促すとのことである。お知らせのはがきではカラ期間についても分かりやすく説明するべきであると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。