質問主意書

第192回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一九号

「核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議」に反対した理由に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年十月三十一日

小西 洋之   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   「核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議」に反対した理由に関する質問主意書

 外務省による岸田外務大臣会見記録によれば、平成二十八年十月二十八日の国連総会第一委員会での「核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議」に反対した理由として、「反対の理由は、この決議案が、(1)具体的・実践的措置を積み重ね、「核兵器のない世界」を目指すという我が国の基本的立場に合致せず、(2)北朝鮮の核・ミサイル開発への深刻化などに直面している中、核兵器国と非核兵器国の間の対立を一層助長し、その亀裂を深めるものであるからであります。こうした評価は、この決議に対する各国の投票行動、例えば北朝鮮はこの決議に賛成をしています。そして核兵器国は全てこの決議に対しては賛成をしておりません。こうした投票行動にも、こうした評価は表れているのではないか、このように考えます。」とされているところである。以下、これに関して質問する。

一 「(1)具体的・実践的措置を積み重ね、「核兵器のない世界」を目指すという我が国の基本的立場に合致せず」について、「核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議」に基づいて行われることになる条約交渉等が、なぜ、「具体的・実践的措置」に該当しないと考えたのか、その理由を具体的かつ詳細に説明されたい。

二 「(2)北朝鮮の核・ミサイル開発への深刻化などに直面している中、核兵器国と非核兵器国の間の対立を一層助長し、その亀裂を深めるものであるからであります。」について、「核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議」が採択されることが、なぜ、「核兵器国と非核兵器国の間の対立を一層助長し、その亀裂を深めるものである」と考えたのか、その理由を具体的かつ詳細に説明されたい。

三 前記二において、「核兵器国と非核兵器国の間の対立を一層助長し、その亀裂を深める」という事態が、「核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議」に基づいて行われることになる条約交渉等において改善等し得ないと考えたのか。政府の見解を明らかにし、その理由について具体的かつ詳細に説明されたい。

四 「こうした評価は、この決議に対する各国の投票行動、例えば北朝鮮はこの決議に賛成をしています。そして核兵器国は全てこの決議に対しては賛成をしておりません。こうした投票行動にも、こうした評価は表れているのではないか」との主張の合理性及び正当性について、同日に国連総会第一委員会で採択されたわが国の提出による「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意の下での共同行動」に対して、核保有国である中国、ロシアが反対し、同じく核保有国であるインド、パキスタン、英国が棄権している事実との関係をどのように考えるのか、すなわち、全ての核保有国が「(1)具体的・実践的措置を積み重ね、「核兵器のない世界」を目指すという我が国の基本的立場」を支持していないこととの関係についてどのように考えるのか、具体的かつ詳細に示されたい。

  右質問する。