質問主意書

第192回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一二号

国連の北朝鮮人権状況決議に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年十月二十五日

有田 芳生   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   国連の北朝鮮人権状況決議に関する質問主意書

 国連人権理事会及び国連総会において採択されてきた「北朝鮮人権状況決議」(以下「決議」とする)に関して質問いたします。

一 本年採択された決議と、昨年までに採択されてきた決議との相違点について順を追って御説明下さい。併せて、これらの相違点に関する政府の見解についても順を追って御説明下さい。

二 本年の決議では、北朝鮮における人権侵害に係る説明責任の問題に重点的に取り組む独立した専門家によるグループ(以下「専門家グループ」とする)の立ち上げが採択されています。政府として、今後、この専門家グループにどのような働きかけをし、どのような成果を得ようとしているのかを明らかにして下さい。

三 平成二十六年十一月以降の決議では、北朝鮮において国家の最も高いレベルで策定された政策に従い「人道に対する罪」が行われたと規定しています。現在、安倍政権の最重要課題とされている拉致問題は、この人道に対する罪に該当しているのですか。該当している場合、それは何という人権侵害だと決議では規定されているのですか。

四 平成二十六年十一月以降の決議には、北朝鮮の人権状況の国際刑事裁判所(ICC)への付託の検討及び、人道に対する罪を構成し得る行為に対して最も責任を有すると思われる者に対する制裁の検討が盛り込まれています。日本は、共同提案国として決議に示されたこれらの方針の実現を支持しているのですか。

五 日本は共同提案国として、決議に示されたこれらの方針の実現を図る責任が国際社会に対してあると考えるものですが、政府のお考えはどうなのかお伺いします。この責任が日本にある場合、日朝間でのいわゆるストックホルム合意に示された拉致問題についても、決議の枠組みの中で解決を目指すものと理解してよろしいですか。それとも、拉致問題だけを切り離し、日朝間だけの問題として解決を図ろうとするお考えをお持ちですか。

六 平成二十八年十一月の国連総会をはじめとして、政府はどのようにして北朝鮮の人権侵害状況の解決を目指す啓発活動に取り組んでいくのですか。具体的なスケジュールと手法についてお示しください。

七 最近の北朝鮮における人権侵害状況の中で特に注目されるのが、北朝鮮から諸外国へ派遣されて厳しい労働条件で働かされている海外労働者の問題です。この問題に対する政府の見解と対応方針についてお伺いします。
 特に、この北朝鮮の海外労働者を一番多く受け入れている中国とロシアに対し政府はどのような働きかけをしていくのか、政府の方針をお伺いします。

  右質問する。