質問主意書

第191回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第八号

内閣参質一九一第八号
  平成二十八年八月十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員山本太郎君提出沖縄・米軍北部訓練場ヘリパッド建設に抗議する市民に対する警察権行使の法的根拠に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本太郎君提出沖縄・米軍北部訓練場ヘリパッド建設に抗議する市民に対する警察権行使の法的根拠に関する質問に対する答弁書

一、三及び八について

 沖縄県警察によると、平成二十八年七月十九日、北部訓練場のヘリコプター着陸帯の移設工事に反対する多数の人々が、沖縄県道七十号線の北部訓練場の進入路周辺において、約百メートルにわたり両側端に沿って車両を駐車し、同県道上にい集していたこと等から、現場における混乱及び交通の危険の防止等のため、同進入路に至る同県道の新川ダム入口交差点付近等において検問を実施し、通過する車両の運転者への情報提供及び注意喚起を行うことを、同日、沖縄県警察本部長が決定し、その指揮の下で検問を実施したとのことである。警察庁においては、本件検問の実施について、同日、沖縄県警察から連絡を受けている。本件検問は、警察官職務執行法(昭和二十三年法律第百三十六号)第二条第一項の規定を根拠とするものではなく、警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)第二条に規定する警察の責務を達成するために適切に行われたものであり、御指摘の「集会、言論及び表現の自由を侵害する行為」には当たらないものと考えている。また、政府において、本件検問の実施の決定について事前に把握していた事実はない。

二について

 御指摘の各「類型」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることが困難であるが、沖縄県警察によると、本件検問は安波方向に進行する全ての車両を対象としていたとのことである。

四から六まで及び九について

 沖縄県警察によると、平成二十八年七月二十二日、北部訓練場のヘリコプター着陸帯の移設工事に反対する多数の人々が、沖縄県道七十号線の北部訓練場の進入路周辺において、数百メートルにわたり、百台を超える車両を道路一面に配置したほか、道路上に座り込むなどし、これにより、車両の通行が物理的に不可能となったところ、その後も、多数の車両等が次々に現れ、これらの車両等と当該道路を通行しようとする車両による交通事故が発生するおそれがあったほか、その状況でこれらの車両等を移動させるための作業を行った場合には、当該道路を通行しようとする車両及び歩行者に交通の危険が生ずるおそれがあったことから、現場の警察官が、当該危険を防止するため緊急の必要があると認め、一時的な措置として、同県道の安波ダム入口交差点から新川ダム入口交差点までの間において、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第六条第四項の規定に基づき車両及び歩行者に対する通行を禁止する交通規制を実施したが、その後も交通状況が好転せず、引き続き交通の危険を防止する必要があったことから、沖縄県名護警察署長が、同法第四条第一項及び第五条第一項の規定に基づき同様の交通規制を実施するとともに、同法第百十条の二第三項ただし書の規定に基づき、当該規制の適用される道路の管理者に当該交通の規制に係る事項を通知したとのことである。警察庁においては、本件交通規制の実施について、同日、沖縄県警察から連絡を受けている。本件交通規制は、道路交通法の規定に基づき適切に行われたものであり、御指摘の「自由に対する国民の権利の侵害」にも、「国民の知る権利に資する真実の報道の自由を侵害する行為」にも当たらないものと考えている。また、政府において、本件交通規制の実施の決定について事前に把握していた事実はない。

七及び十について

 個々の報道に関し、政府としてお答えすることは差し控えたいが、沖縄県警察においては、平成二十八年七月二十二日、北部訓練場のヘリコプター着陸帯の移設工事に対する抗議活動の状況等を踏まえ、現場における混乱及び交通の危険の防止等のために必要な警備活動を、警察法第二条に規定する警察の責務を達成するために適切に行ったものであり、当該警備活動は、御指摘の「集会、言論及び表現の自由を侵害する行為」にも、「公務員による拷問」にも当たらないものと考えている。