質問主意書

第191回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第七号

内閣参質一九一第七号
  平成二十八年八月十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員田村智子君提出児童福祉施設最低基準の引き下げに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員田村智子君提出児童福祉施設最低基準の引き下げに関する質問に対する答弁書

一について

 「保育所への入所の円滑化について」(平成十年二月十三日付け児保第三号厚生省児童家庭局保育課長通知)に基づき利用定員(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和二十三年厚生省令第六十三号。以下「設備運営基準」という。)第九十六条に規定する利用定員をいう。以下同じ。)を超えて保育の実施を行っている保育所においては、利用定員の数に利用定員を超えて保育の実施を行っている児童の数を加えた総数に応じて、同条に規定する「保育所に係る利用定員の総数に応じて置かなければならない保育士の数」を算定するものである。

二について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の設備運営基準第九十六条では、一日につき八時間を超えて開所する保育所において、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第三十五条第四項の規定による認可の際に必要となる保育士の数に加えて保育士を置かなければならない場合は、設備運営基準第三十三条第二項に規定する保育士の数の算定については、一日に追加的に確保しなければならない保育士の数の範囲で、都道府県知事(指定都市にあっては当該指定都市の市長、中核市にあっては当該中核市の市長)が保育士と同等の知識及び経験を有すると認める者を保育士とみなすことができることを規定している。このことは、家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準(平成二十六年厚生労働省令第六十一号)附則第八条及び幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準(平成二十六年内閣府・文部科学省・厚生労働省令第一号)附則第七条の規定についても同様である。

三について

 御指摘の公定価格においては、保育士(保育教諭を含む。以下同じ。)により保育が行われる場合と、保育士並びに設備運営基準第九十五条及び第九十六条等の規定に基づき保育士とみなされる者(以下「保育士とみなされる者」という。)により保育が行われる場合を、同等の取扱いとしている。

四及び五について

 本年四月一日に施行された設備運営基準等の改正は、保育の需要に応ずるに足りる保育所等(保育所、認定こども園及び家庭的保育事業等をいう。以下同じ。)が不足していることに鑑み、当分の間、保育の質を確保しつつ、保育所等における保育士の配置についての特例を設けたものである。
 具体的には、保育士とみなされる者については、設備運営基準第九十七条等の規定により保育所等に配置することができる数の上限が定められていることや、当該設備運営基準等の改正に伴い発出された「保育所等における保育士配置に係る特例について」(平成二十八年二月十八日付け雇児発〇二一八第二号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)等において、保育士等(保育士とみなされる者を含む。)の処遇改善などに配慮するよう周知を進めていることを踏まえれば、御指摘のように「保育士または保育教諭に比べ給与の低い無資格者をあてればあてるほど収支差が拡大する」こととなるとは必ずしも考えておらず、「保育の・・・質が低下したままになる可能性が高い」との御指摘も当たらないものと考える。