質問主意書

第190回国会(常会)

答弁書


答弁書第一四三号

内閣参質一九〇第一四三号
  平成二十八年六月七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員川田龍平君提出戦没者のご遺骨の帰還の在り方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出戦没者のご遺骨の帰還の在り方に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「洗骨」の具体的な内容が必ずしも明らかではないため、お尋ねについて確定的にお答えすることは困難であるが、例えば、戦没者の遺骨のDNA鑑定の検体として用いるための歯については、付着物の除去のみを行い、焼骨せずに国内に持ち帰ることとしている。

二について

 お尋ねの「法的根拠」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、戦没者の遺骨収集は、昭和二十七年六月十六日の衆議院海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会における海外諸地域等に残存する戦没者遺骨の収集及び送還等に関する決議を踏まえるとともに、厚生労働省設置法(平成十一年法律第九十七号)及び「米国管理地域における戦没者の遺骨の送還、慰霊等に関する件」(昭和二十七年十月二十三日閣議了解)に基づいて行っており、現地における焼骨は、その遺骨収集の一環として、厚生省(当時)が昭和二十九年七月六日に作成した「海外戦没者遺骨の収集等に関する実施要綱」において遺骨を荼毘に付す旨が規定されていることに基づいて行っている。また、「政府内においてどのような経緯で取り決めたものなのか」とのお尋ねについては、「取り決めた」対象が必ずしも明らかではないが、同実施要綱を作成した経緯については、当時の記録が残っておらず、お答えすることは困難である。さらに、「遺族団体の了解をいつどのように取り付けたのか」とのお尋ねについては、「遺族団体の了解」の対象が明らかではないため、お答えすることは困難であるが、現地における焼骨については、必要に応じて現地に同行している遺族に説明しながら適切に実施している。

三について

 お尋ねの「洗骨のみで焼骨せずにご遺骨を国内に持ち込むこと」については、防疫の観点からの規制はない。

四について

 お尋ねの各国における「日本人であることが明らかなご遺骨を焼骨せずに持ち出すこと」に係る規制については、具体的に把握していないため、お答えすることは困難であるが、政府としては、戦没者の遺骨を国内に持ち帰ることを含め、戦没者の遺骨収集については、諸外国の同意を得て適切に対応している。

五について

 お尋ねの「外国の方のものであることが明らかなご遺骨を日本から海外へ持ち出す場合」に係る規制はない。