質問主意書

第190回国会(常会)

答弁書


答弁書第一二八号

内閣参質一九〇第一二八号
  平成二十八年六月二日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員藤末健三君提出タックスヘイブンに対する国際社会と連携した監視・規制に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出タックスヘイブンに対する国際社会と連携した監視・規制に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「タックスヘイブン」について確立した定義はないと承知している。また、海外における法人設立等を支援する法人があることは承知しているが、個々の法人の業務態様は様々であり、お尋ねの「現状」については、一概にお答えすることは困難である。

二について

 国際的な租税回避や脱税については、これまでも各国政府が連携を取ってきていると承知している。経済協力開発機構(以下「OECD」という。)・G20税源浸食と利益移転プロジェクト(以下「BEPSプロジェクト」という。)によって、多国籍企業の租税回避を防止するための取組が進められており、また、OECDにおける非居住者に係る金融口座情報を各国税務当局間で自動的に交換するための共通報告基準(以下「共通報告基準」という。)の策定を通じ、海外の金融口座を利用した租税回避や脱税の防止に取り組んできており、一定の成果を挙げていると承知している。平成二十八年五月二十六日及び二十七日に行われた伊勢志摩サミットでも、日本が議長国として、こうした租税回避や脱税に対する国際的な対策に関する議論を主導したところである。

三及び四について

 インターネット上で、海外における法人設立や銀行の口座開設のためのウェブサイトが開設されている状況は把握している。こうした法人や口座を利用した租税回避や脱税に対処するため、共通報告基準に基づく各国税務当局間の金融口座情報の交換の枠組みに、平成二十八年五月九日時点で百一か国・地域が参加を表明し、遅くとも平成三十年末までの交換開始が合意されていると承知している。我が国も当該枠組みに参加を表明しており、平成二十七年三月三十一日に、当該交換の実施に必要な規定を定めた所得税法等の一部を改正する法律(平成二十七年法律第九号)が公布されたところである。

五について

 BEPSプロジェクトにおいては、租税回避スキームを、その開発者又は利用者が税務当局に報告する制度の導入といった、租税回避スキームを提供するサービスへの対策が勧告されている。政府としては、こうした勧告を受け、制度の導入の要否も含め、検討していく考えである。