質問主意書

第190回国会(常会)

答弁書


答弁書第一〇一号

内閣参質一九〇第一〇一号
  平成二十八年四月二十六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員白眞勲君提出政府が集団的自衛権の行使を認める中での毒ガス等の化学兵器、細菌・ウイルス等の生物兵器といった大量破壊兵器の使用の憲法解釈に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員白眞勲君提出政府が集団的自衛権の行使を認める中での毒ガス等の化学兵器、細菌・ウイルス等の生物兵器といった大量破壊兵器の使用の憲法解釈に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 我が国は、細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約(昭和五十七年条約第六号。以下「生物兵器禁止条約」という。)及び化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約(平成九年条約第三号。以下「化学兵器禁止条約」という。)を締結しており、生物兵器禁止条約第一条において、締約国は、いかなる場合にも、生物兵器を開発せず、生産せず、貯蔵せず若しくはその他の方法によって取得せず又は保有しないことを約束する旨が、また、化学兵器禁止条約第一条において、締約国は、いかなる場合にも、化学兵器を使用することを行わないことを約束する旨が、それぞれ規定されており、生物兵器及び化学兵器を使用しないことは、国際法上、我が国が負っている義務であり、これらの条約の適確な実施を確保するため、細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約等の実施に関する法律(昭和五十七年法律第六十一号)第四条において、何人も生物兵器を所持してはならない旨が、また、化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律(平成七年法律第六十五号)第三条において、何人も化学兵器を所持してはならない旨が、それぞれ規定されており、我が国は、生物兵器及び化学兵器を使用し得ないこととしている。
 したがって、御指摘の「武力行使の新三要件」の下においても、我が国が生物兵器及び化学兵器を使用することはあり得ないが、その上で、あえてお尋ねの憲法第九条との関係についての純法理的な問題としては、先の答弁書(平成二十八年四月十五日内閣参質一九〇第九七号)においてお答えしたところと同様である。